菅原健二, GAN☆KON 1, 2012
ちょっと前の少年サンデー。神様系のラブコメ。日本の神様はすぐに少年とラブコメ始めるから困る。困らない。
最初のほうでは容姿の美醜というラブコメ最大の禁断のテーマに触れられており、タブーの領域に乗り込んでいくとはやりおる……などと思っていたが、途中からバトル展開になっていき、なんだかんだ少年漫画的に落ち着いていったのはよかったのか悪かったのか。少年サンデーらしいので、仕方のないことかもしれない。
以下1-2巻感想。
見た目というラブコメの一大テーマ
作者さんの作品としては、『放課後ラッキーガール』という割と躊躇わないエロコメ的な漫画を以前読んでいて、この漫画もそういう感じなんだろうか?と思ったらけっこうガッツリ少年漫画で驚いた。と思ったら少年サンデーだった。なるほど。
ただその内容はかなり挑戦的。展開自体は物珍しいものではなく、主人公が神様に「かわいい嫁がほしい!」と願って何故か神様自身が嫁ぐという、まぁどこかで見たことあるような気がしないでもないものなのだが、面白いのは、その神様の元の姿がどう見てもロボ。いやまぁ、これはこれで少年が好きなものだとは思うけど、彼女まして嫁にしたいものではないよねぇ……(と思ったがメカ好きな少年だったらいるかもしらん 笑)。
で、普段は神様は依代の姿をしていて、それは大層美少女なのだが、本来の姿は巨神ということで、少年は大いに萎えるわけだ。
これはつまり、見た目の良し悪しが思いっきり恋愛感情に反映されるということだ。人間の姿ですらない巨神の姿なので致し方ないとはいえ、本質的にはルックスだろう。
結局見た目かよ、というのはラブコメの一大テーマであり同時にタブーである。もちろん最終的には身も心も通じ合うのがラブコメのセオリーであり、見た目がいいだけのヒーロー・ヒロインなどお呼びではないが、しかし見た目が整っていることはラブコメの基本条件である。それは同性でさえそうで、男向けラブコメといえども、作中評価が"冴えない男"でも普通に「イケメンじゃね?」と思わせる主人公は多い。
実際のところ、見た目が良いからこそ始まるラブ・ストーリーのほうが多いんじゃなかろうか。ラブコメは人の浪漫だが、その浪漫の中に良い見た目というのは当然のように含まれているのである。
これはかなり重いテーマで、できれば触れずにいたいところだ。実際、真面目に取り組んだ作品はあまりないと思う。ここらへんストレートにメインテーマとして突っ込んだ作品は、ラブコメ色が強いものだと東村アキコの主に泣いてますが思い浮かぶが、自分はそれ以外だとちょっと思いつかない。
なので、最初のほうで見せた主人公の葛藤は非常に面白く、またチャレンジングだなぁなどと思ったのだが、本当の姿は別にあることが示唆され、また話は徐々に"バトル"へと重きが置かれていき、2巻の終わりにもなるとまぁ一般的な少年漫画な形式に落ち着いており、ちょっと残念な気もする。まぁでも少年漫画のラブコメでやるようなネタでもないよね。少年サンデーみたいだし。
まぁ多分きっと美少女
まぁ恐らくヒロインの本当の姿も順当に美少女の姿なのではなかろーか。少なくとも心は女性だろう。主人公が落ち武者姿にされた時、神様もドン引きで赤い糸細くなっていたしね。。。ってかそうでないとナチュラルに嫁にいかんわな。少年がブサイクだったら神様願いを聞き入れなかったんじゃないかもしれんね 笑。
開き直ってしまえば、メカ姿もなれると愛着がわくものである。依代の姿は可愛いし、まぁ拘らなければむしろ二度おいしいよね、という感じで順応した主人公の姿はちょっと笑える。
そういえば、2巻になるとライバルヒロインが出てくるけれど、ヒロインが美少女状態のときは主人公を諦める方向に行くのに、メカ姿を見たら一気に主人公を奪う方向に走りだすのもなかなか示唆的だよね。実際好きな人がとんでもない見た目の人と付き合っていたら「!?」ってなるし「それだったら自分が!!」ってなりそう。
なんだかんだ考えさせられるところはあるのだけれど、少年漫画であるし、まぁそこまで深入りはしないのだろうなぁ。全5巻なので、そのうちに読もうかなと思う。
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