『葬送のフリーレン』11巻感想:動けるジジイの一挙一動に感じる人生

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11巻最後に突然カラーページが始まったからさ、あ……と思ったよね。次回から長らくお預けだったラブコメ編始まりますか?

それはそれとして今回は徹頭徹尾老いぼれジジイ最後の戦いでござった。そしてバトルシーンくさし気味の自分だが、このマハト戦については面白く読めた。一方でフリーレンvsソリテールは……面白かった、と思う。

思うというのは、この歳になると自分の感情もよくわからなくなるのだよ。オッサンはめんどくさい。ジジイはもっとめんどくさい。以下めんどくさいジジイを極めし者最後の戦い11巻感想。

目次

今回の内容

  • ジジイvsわかづくりジジイ
  • わかづくりババアvsわかづくりババア
  • ヒンメル23歳

自分の感情はわからない

まぁ自分でもめんどくさい事言ってるなと思うんだけれど、この歳になると今感じている感情らしきものについても疑ってしまうんだよな。まぁ感情なんてのは景気みたいなもんでね。なんとなくよくなってるような気がするし悪くなってるような気がするが、その実体というのは実のところよくわからない。そして基本的に行きすぎる。それはバブルように膨らんだり、恐慌のように不必要なほど落ち込んだりする。いずれも実体そのものではなく、またその存在を経験して知ったものは、景気の動きを警戒するようになる。

感情も同じようなもんだ。感情の起伏は必要以上に大きく、盛り上がりすぎるし、落ち込みすぎるその癖実体はよくわからん。それを(痛い目を見て)知っている。なので、時には感情の流れに身を任せることもあるが、それも一つの決断であり、たいていの場合は考える。今自分が感じている心の動きは本当なんだろうか。だとしたら何故だろうか。

戦闘の所作に人生の裏付けを感じる

なんでこんなめんどくさい事を言っているかと言うと、マハト・ソリテール戦を読みながら、今俺は面白いと思っているんだろうか、とめちゃくちゃめんどくさい事をずっと考えていたからなんだよな。まぁそんなこと思ってる時点で面白いと思ってるには違いないんだけど、その一方でちょっとした違和感もあるわけだ。

違和感というのは、俺はドラゴンボールが読みたかったのか?ということだ。いやドラゴンボールは面白いが、そういうバトルものが読みたかったんだっけ?と言えば明確にNOである。力比べは求めていない。デンケンvsマハトはともかく、vsソリテールのほうは、少なくとも前巻のフェルン・シュタルク相手の時は若干の力比べ感があり、実際目が滑った。しかし今回のフリーレンvsソリテールは、必ずしも力比べとは思わなかった。

俺はこの戦いを見ながら、今までに読んできた「動きのある口喧嘩」みたいななんちゃってバトルの漫画を思い出していた(ちょっとネガティブなので作品の実名はあげないでおく……)。あれとは違いを感じる。かといってかめはめ波vsギャリック砲という感じでもない。

なにが違うんだろうか、と考えると、動きの一つ一つに人生による裏付けを感じられたことかもしれない。特にデンケンにおいては、動きの良さ、呪い返しのタイミング、ゾルトラークの使い方、などなど、一つ一つに彼の長月とこの世界の人間の歴史を思わせるところがあった。つまり彼と人類が、戦いの所作に落とし込まれているのである。

では一方フリーレンvsソリテールはどうかというと、こちらはかなり技巧的に、単なる力比べにならないようにされたなと思った。

フリーレンの魔族に対する考え方自体は既にここまでに描かれているため、その観点で新たな展開はない。フェルンとシュタルクを殺したという言葉による挑発については、それが真実か嘘かわからないことを承知のうえで、それでもなお「怒りを感じている」と自己分析しつつも、目の前の戦いに集中するフリーレンおばあさんの老練さを感じさせるものの、それくらいである。しかしデンケンvsマハトと連動させることで、二つの戦いではなく一つの戦いとしてまとめあげられたうえ、キメのヒンメル回想と連動させたフェルンの不意打ちは、フリーレンたちの積み上げてきたものの裏付けを感じさせる所作だった

ということで、結果面白かったの五文字になるんだが、この五文字のためにつらつらとこの長文を打ち込んでいる俺は、本当にめんどくさい大人になっちまったんだなぁと思う。

悪友 グリュックとマハト

ところで魔族については皆それぞれ思うところがあるだろうが、自分の中の認識は端的に言ってサイコパスである。まぁあくまで一つの見方であって、実際のサイコパスとは思っていないものの、本質的なテーマは近いものを感じる。で、俺はこれについては「異常者の愛」という作品で一度考えたことがあった。

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この時に考えたことから大きく変わらないように思えたので、まぁ俺は魔族どうこうについてはさほど思うところがないのかなと思う。いや、グリュックとマハトの関係については思うところがあるな。この救いようのない者との関係がこれほど綺麗に描かれたのは本当に驚き。前述した異常者の愛は胸クソなんだけど、普通は胸クソになると思うんだよ。

……そう考えるとマジですごいな。あ、これ思うところあるわ。あった。友達にも恋人にもなれないけれど、悪友にはなれるんだ。そうか。なるほど。あー……うん、別で記事にしようかな……。

12巻はラブありますか?

さすがに長くなったので本巻の記事はここらへんで終わるとするが、最後のカラーページだけは言及しないわけにはいかないサイト的に。12巻は長らくお預けだったラブコメ編くるんですかね?突然カラーページになったから「お?」と思ったらヒンメル23歳きたやん。この時点においては展開は複数考えられるが当然仮初めでもラブコメ編を所望するよね。

ラブの花咲くかもしれないし咲かないかもしれない12巻を俺が読めるかどうかは、姉が買うかどうかにかかっている。いや姉に借りて読んでるんだけど、なんでか12巻だけないんよ13巻買ってるのに何故なんだ。この状態で13巻は読めねぇよ。姉も「悔しいからまだ読んでない」「続き気になるよね」いや買ってよ姉様。頼むよー。

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