『保安官エヴァンスの嘘』1-5巻感想:カッコいいラブコメ

栗山ミヅキ, 保安官エヴァンスの嘘 1, 2017

オススメされたメモで教えてもらったんだけれど、あらやだ、これは幸せなラブコメだわ……。サブタイトルのDEAD OR LOVEよ。

基本はモテたくて保安官になった主人公・エヴァンスと、素直になれない賞金稼ぎ・オークレイのカップル系ラブコメ。ただカップル系ではあるんだが、エヴァンスの場合モテたい願望が強くてその場限りのヒロインなんかも出たりするんだけれど、まぁ恋愛的な発展にはまずならないのでいろんな意味で安心設計。

個人的にいいなぁと思うのが、名誉が大事にされていて、しかもそれがギャグに昇華されているところだなぁ。それでいて厭味ったらしさがない。

kawaii全盛の今だけれど、こういう「カッコいい」を求めたラブコメってのも、すごくいいと思ったな。カッコいいって、カッコつけることだと思うわ。以下1-5巻感想。

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このカッコつけどもよ

うーんこれはいい。まず1巻時点では純粋にギャグ漫画としてエヴァンスの空回りぶり・残念ぶりと作中での評価のギャップで笑わされて、まぁその後は同じことの繰り返しなのでギャグとしてはマンネリ化するんだけれど、ちゃんとラブコメとして落ち着いているので全然問題ない。というかラブコメがよい。

エヴァンスとオークレイのラブコメ。この二人がね、素直じゃないの、カッコつけなの。二人ともお互い気になっているのに、二人してカッコつけるから、全然ラブが進まねんだわ。ラブコメでラブが進まないのに面白い。

いや、進まないってことはないんだよね。確かに表面上の進展はなにもない。なにもないんだけれど、互いの信頼感っていうのかね、心の距離が縮まっているのがわかる。なにも起きてないのに。これはカッコいい。

カッコいいが素敵

そう、これカッコいいんだよ。いやそりゃね、読者の神視点から見たら、エヴァンスにせよオークレイにせよ、カッコつけた童貞と処女だから、かっこ悪いのは見て取れるんだけれど、でも作中では二人ともカッコいいし、尊敬だってされているわけ。

いやぁ、ええやん。俺はこの歳になってつくづく思うよ、カッコいいって、カッコつけることなんだなって。カッコいい大人って、カッコつける大人なんだなって。自分が大人になって、「あれ、大人ってこんなもんか」って思ったけれど、実際子供と接する時に、ふと大人らしく接している自分に気づいてね、「ああそうか、俺の周りの大人たちも、大人っぽく振る舞ってくれていたんだ」って、はたと気づいたもんだよ。本当にカッコいい人なんていない。カッコよく見えている人は、カッコつけているんだなって。

カッコつけているわけだから、自然体じゃないかもしれない。それはひょっとすると、「ありのままの自分」みたいなものが持て囃される昨今、それこそ「カッコ悪い」なんて言われてしまうようなことかもしれない。

でも俺はいいと思う。やっぱ人間、カッコつけてなんぼだよ。カッコつけていきましょうや。カッコいい自分、作っていきましょうや。

カッコ悪いも大事

まぁでも、自然でいることも大事だよね(どっちやねん)。前述したとおり、エヴァンスとオークレイはどちらかでも素直になれば即ラブが進むのに、どっちもカッコつけたままだから全然ラブが進まないわけさ。

そう、人間カッコつけるだけでもやっぱりダメで、どこかでカッコ悪い自分を見せなきゃいけないし、そういうカッコ悪さを互いに受け入れられた二人が、良いパートナーになるんだろね。

そしてエヴァンスとオークレイのいいところは、この二人は限界までカッコつけて、相手のカッコよさに惚れ込みながらも、カッコ悪いところも受け入れられて、いやむしろそれで益々相手を好きになるんだろうなと、そんな風に思えるところだね。

だから読者視点だと、二人にはカッコいいままでいてほしい気持ちあり、いやでもラブコメの進展にはカッコ悪さが必要だしという気持ちありで、非常にもどかしい。でもそのもどかしさが心地よい。

いいラブコメでした。ちょっと週間連載なだけあって、巻数が非常に多いので追いつけるかどうかわからんが、これは続きも読んでいきたい。

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