『江波くんは生きるのがつらい』3巻(最終巻)感想:本物を求める割れ鍋綴じ蓋カップルはたった二人で宇宙を作る

藤田阿登, 江波くんは生きるのがつらい 3, 2019

終わった。表紙はやっぱりこの2人になるんやね。ヒロイン群像劇っぽい感じあったけれど、この二人の話だったのだろうと思う。

というか最終話の唐突っぷりよ。打ち切りか、打ち切りなのか?最終話の一話にやりたかったことを全部詰め込んだ感がある。しかし最終話の直前にお色気サービス話ってのも珍しいな。でもそれは割とどうでもよかったり。

うーん……正直ちょっともったいないな、と思った。魅力的になりうるカップルだったのに。以下最終巻こと3巻感想。

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本物を求める二人

唐突な最終話。これは……。描きたいものがあったのだなぁということばかりがひしひしと伝わってくる。

(満たされないで 小さくまとまろうとしないで きれいなものにしないで)
「あがいて苦しんでなきゃ…つまらないじゃない…」

清澄の歪な愛のカタチが示される。彼女は男性が上に行こうと何かをつかもうと、もがき苦しむ姿に魅力を感じる。

一方、江波は何故か山籠りし、ギャグみたいな髭を生やし「惑うこと…それこそが答えだったんです」と語り、あらゆること、そう女子のパンチラなど、些細なエロスもものにしてモノが書けるようになりご満悦だった。

彼のそんな様子を見た清澄は、部屋に誘い、誘惑する。江波は女性の身体を知ってしまえば、せっかく書けるようになったのに、また書けなくなってしまう、と拒絶しようするが、結局清澄の裸体の魅力に抗えず、身体を重ねてしまう。

「清澄さん…あなたにはかなわない
 僕は…迷い続けるしかないんでしょうか
 それならいっそ……清澄さん
 僕をもっと…苦しめてください」

それは江波の告白だった。その告白に、清澄は頬を赤らめ、「うん…」と頷く。

翌日、「知ってしまった…書けない…」と呆ける江波の隣で、清澄は楽しそうにアイスを齧る。そんな清澄の様子を見て、江波はふてくれされたように「書けなくなったわけじゃありません」と強がる。

「全ての女性を知ったわけじゃないし…
 万物全てを知ったわけでもないし
 あなたのことだって…」

江波は「まだ、書ける。書き続けます」と前を向く。清澄はいよいよご満悦の様子だ。

「…あなたは 苦しんでいる僕が大好きなんですね」
「うん 大好き」

そして、物語は幕を閉じる。

……とまぁこんな感じで、うーんなるほど、描きたい世界があったわけだ。この二人は不器用ながらも本物を求める割れ鍋綴じ蓋カップルで、たった二人で宇宙を作るタイプの、確かに面白いカップルだったと思う。

全部書いちゃってる

レビューの書き方は人それぞれだが、俺は普段こんなふうにひたすらあらすじを順序立てて書いたりはしない。大事なことは俺がどう感じたのか、どう解釈したのかであって、物語のプロットではないからな。が、この漫画については、あらすじをそのまま書いてしまうのが一番わかりよく思えた。

それはつまり、ほとんど登場人物に語らせてしまっているということなんだよなー……まるで作品のコンセプトのまとめを読んでいる気分だったよ。。。最終話にテーマを一気に詰め込んだ感がすごい

本当は、もっとじっくり時間をかけて描きたかったんじゃなかろうか。しかし単行本3巻という文量は、長くはないが短いとも言えない長さだと思うんだよなぁ。

正直、直接テーマにかかる内容としては全体の2割くらいだったんじゃなかろうか……。江波くんが色々な女性に振り回される姿を描きたかったのはそうなんだろうと思うけれど、やはり清澄さんと二人揃った時が抜群に面白くて、後はちょっと間延びしていた。もっと二人の姿を描いてほしかったな……。

結果論といえばそうなんだろうけれど、なんだかゲームのコミカライズによくある、はじめはやたら丁寧なのに突然駆け足になって最後一気に投げ出して終わるパターンを彷彿とさせる。

うーん……構成次第では化けたんじゃないのかなぁと思うと、ちょっと勿体無いな。作者さんの次回に期待。

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