『江波くんは生きるのがつらい』1巻感想:卑屈男はS女と相性がよいのだと

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藤田阿登, 江波くんは生きるのがつらい 1, 2018

全3巻にて完結済み。

おモテになって羨ましいことで……とちょっと嫌味を言いたくなる朴念仁主人公の、ハーレム風味な文学部ライフ。毎話ヒロインが入れ替わり、そこそこ羨ましいやりとりをして、それが次に繋がることもあれば、繋がらないこともある。

長く続くJK天下のラブコメ漫画界で、大学を舞台にしているのは良いところ。

正直最初のヒロインにもっと焦点を当てて物語作ってほしかった。ダントツで魅力的だったので。ヒロイン入れ替わりにしてもなんらかの形で絡ませてほしかった……。きっと最後はこの子って決めているんだろうし。

フツーなら鬱陶しい卑屈男も、S女と掛け合わせるとよいものらしい。以下1巻感想。

目次

大学ラブコメ

大学の文学部が舞台。主人公はこじれた文学青年。割と硬派だが現代小説も好きそう。でもあまり小説的な描写はない。ゾンビバトル漫画の東京喰種のほうが文芸感あるくらい。あと9割女子くらいの男女比率で、たしかに文学部は女子文化かもしれないが、さすがにここまで極端な比率ではないのでは……。うちの大学は半々くらいだったと聞いた。なお工学部は99.5%男子の学科もあった模様(選ばれし0.5%めっちゃ気になる)。

それにしても、大学が舞台のラブコメってのはポイント高いよね。なにしろラブコメ界隈じゃちょっと少ないから。個人的には、大学生って人生で一番輝かしい時じゃないかと思うんだけれど(仕事の話をするなら別だけれど、青春的な意味で)。

ラブコメ界隈は女子高生が強すぎるんだよね……。リアル社会ではミニスカートの制服と若さで徹底的にブランディングされ、また年齢的にも十代なのでラブコメ的に重要なピュアラブの演出も可能っていう。最近は二十代で最初の恋は「ちょっと遅くない?」みたいに思われちゃうのもラブコメ世界観にはマイナスだし。

それでいながら、一生モノの恋をするにはJKは十分に大人でもある。わざわざ擦れた女子大生をヒロインにする必要がない。

……と書いたが、このあたりはちょっとそろそろ変わっていくような気もちょっとしているんだがどうだろう。さすがにそろそろみんな制服飽きてね?とか、理系だとヤラハタとかフツーだしとか、大学で擦れているやつは多分高校でも擦れてるとか、まぁいろいろ思うところはある。

卑屈男×S女はいいね

ということで大学舞台は大いに良いと思ったし、文学部とはいえ女子比率高すぎねーかとか感じつつも、女子校に男子が一人潜入よりはよほどリアリティあるし、設定的には良いかなと思った。

……なのだが、主人公の江波くんは明らかに好意的に迎えられているのに、勝手な想像で卑屈になるタイプというところが、あんまり見ていて愉快ではない。多くの良い出会いを主人公の被害妄想がダメにする。うーん……。

うーんなのだが、最初に出てきたヒロインが中々に面白い性格をしていて、この子との組み合わせはなかなか良かった。卑屈さを発揮して逃げ回る主人公をすごい積極的に追い回して、飲み会に誘う様は、「ちょっといい子すぎない?」と思ったのだけれど、思った矢先にこれ↓。

江波くんは生きるのがつらい 1, 2018

ぼっちなのに飲み会ゴリ押しされちゃって
かわいそうな江波くん!!
絶対ドタキャンさせてやんない!!

藤田阿登, 江波くんは生きるのがつらい 1, 2018

確信犯だった 笑

このコマの表情とモノローグが個人的にストライクなのだわ。というかこのシーンが面白かったが故にその先も読んだといっても過言ではない。この子と一緒だと、江波くんのキャラも引き立つのではないかと思われる。

なるほどそうか、卑屈男はS女と組み合わせると引き立つんだなぁ。しかもこの子はあからさまなSではなくて、一見優しい清楚風と見せかけてのS(このSはサディストとストーカーのS)だから、より味わいがある。うん、これはいいじゃないか。

……と思ったのだが、残念なことにこのヒロインがメインの話は1巻ではこれっきりだったという。1巻最後のサークル決めシーンでようやく絡んでくる。単行本おまけの挿絵で密かにストーキングしていることが伺えるのだが、そういうところを本編にもうちょっと出してほしかった。

江波くんはつまらない男とは言わないが、単体で魅力的な主人公とはちょっと言い難いので、ほぼ完全にヒロインが毎話入れ替わるタイプではちょっとキツイと思われる。物語に連続性をもたせるヒロインがいるだけで印象は全然違ったと思うんだよなぁ。

全3巻。打ち切られてしまったかなぁ。とりあえず全部読む。

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