『マズ飯エルフと遊牧暮らし』1-2巻感想:もしもボックス、もしも料理だけできない世界があったらで無双する

原作 大間九郎, 漫画 ワタナベタカシ, マズ飯エルフと遊牧暮らし 1,

ラブコメ漫画を読み慣れていない人が、昨今の種々のメタ知識を前提とした、先鋭化したB級ラブコメ漫画を読むと、こういう気分になるのかな、と思った。

本作は飯漫画と異世界ものの悪魔合体で、異世界ものには現代科学で異世界無双するなんだかやるせない気分になるものもあるが、本作においては料理で圧倒することになる。

その結果、そこそこの文明圏であるにも関わらず、「バカな……肉を直火で焼く、だと……!?」「俺、また何かやっちゃいました?」を綺麗な絵で大真面目にやるという、とんでもない世界観が出来上がっている。これを楽しむには異世界ものの流儀のようなメタ知識が必要に思えた。それはラブコメにおいてその道の角を曲がれば美少女に当たるのが当然というメタ知識に近いだろう。

以下1-2巻感想。

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破綻した世界だがそんなの関係ねぇ

ということでこういう漫画はだいたい冒頭で語り尽くせてしまうのだが、気にせずいつものように語っていこう。

まずこの漫画は異世界もの + 料理漫画の悪魔合体なのだが、その結果何が起きたかというと、最初から破綻した世界であり、まずその世界観を受け入れられるかどうかが、この漫画を楽しめるかどうかの分岐点となる。

俺なんかは割と細かいことは気にせず物語を楽しむスタイルだと思うのだが、それでも鉄鍋を作れるだけの文明を持っているのに、料理に関しては全部混ぜて煮る以外知らないというのはかなり引っかかる。

たとえば剣と魔法のファンタジー世界で、科学の知識を使って無双する、というのは、まぁなまじっか魔法があるばっかりに科学が発達しない、という理屈が打ち立てられると思うんだが、料理はどこの世界にも存在するわけで、そういうわけにもいかない。

味覚なども非常に地球人に近く、主人公・サブローがちょっと手を加えた料理をおいしいおいしいと言って(おいしいという言葉はサブローが教える。この概念を教える、というのは大きな優越感をもたらしている)食べるので、なぜ料理だけまったく発達しなかったのか、非常に不思議である。

これについて、サブローが疑念を持てば、何かこの不整合を説明できる世界観の核があるのだろうか?というミステリー的な見方もできるのだが、サブローはサブローでそういう人たちなんだと受け入れるため、特に深まらないし、実際何かあるわけではないのだろう。

エルフ設定ではあるものの、今の所耳が尖っていること以外は特に特徴もなく、何を食べてはいけないみたいな厄介な制約もないようだ。ということで思う存分無双できる。

重要なことは面白いか、だが…

まぁつまり、異世界ものにありがちな俺TUEEEEをすることが重要なのであって、そのために世界観が破綻したとしても、そんなことはどうでもよいことなのである。

どんなジャンルにもそういうことはあって、たとえばラブコメ漫画なのでは、その道の角を曲がれば美少女にあたり、教室に入ればツンデレ委員長がちょっかいかけてきて、放課後になれば謎の美少女が謎部活に誘ってきて、家に変えれば遺伝を無視したのかと見紛う可愛い妹が出迎えてくれる。

そんなありえないことが、野郎向けのラブコメ漫画というジャンルにおいてはすんなりと受け入れられている。

確かにこの漫画の世界観は破綻しているかもしれない。だがそれは、物理法則を無視したおっぱいと何が違うというのだろう?俺たちが求めているのは科学的な正しさではないのだ。

ということで、「なんで料理だけできねぇんだよ!」というツッコミはするだけ野暮というもので、どんなジャンルも先鋭化すれば世界観など簡単に破綻するのであるし、それは大した問題ではないのである。面白ければいいのだ。

まぁでも納得できるかってのもあるよね

……なんだが、しかし、どうかね、それはあくまで面白さを追求するがゆえの副作用みたいなものだ。ラブコメだって、美少女とイチャイチャするためならどんな舞台装置も許されるんだが、一般的に無個性ハーレム主人公は嫌われる。それはなぜかといえば、読者視点で「なんでこいつがこんなにモテるのかわからん」と納得ができないからだ。「こんなに美少女に囲まれるわけないだろ」ではない。

変な話だが、あの道を曲がって美少女にぶち当たることは運命として受け入れられるが、その後彼と彼女の間にロマンスが生まれるのには、何かしら納得できるものが必要なのである。パンチラ描けばいいってもんでもないのである。

ということで、異世界ものにおいては異世界で俺TUEEEするのが一つの流儀なのだろうとは理解するものの、そこにはラブコメ世界と同じように、やはり何かしら納得させるものが必要なんじゃなかろうか、とも思うわけだ。

で、やっぱり普遍的と思われる料理だけ異様に発達していない、というのは、少なくとも俺にとってはモヤモヤっとし続けるところで、さすがに直火で肉を焼くのを見て「そんなことをしたらお肉燃えちゃうよ!」という猿人レベルのツッコミするのにはおいおいと言いたくなってしまう。

というわけで、別に異世界もの好きではない俺にとってこの漫画は早すぎたということになると思われるが、ラブコメ的な見方をすると、サブローと多分ヒロインのポポはいい感じになる。これはラブコメ世界観においては非常に納得できる(料理を教えたサブローと異世界人を受け入れたポポ)ものの、面白くはない。つくづく物語というのは難しいものであることだなぁ。

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