当サイトはラブコメ漫画のレビューブログであり、既に数百作品について語っているが、これだけの漫画を紙で管理できるような豪邸に住んでいるはずはなく、テクノロジーの力を借りて蔵書を管理している。つまり電子書籍である。非常に有り難い反面、大きな問題もある。それは管理上の問題だ。
具体的に言うと、たとえば漫画Aについて、1巻はKindle、2-4巻はKobo、5巻は紙の特装版、6巻はeBookJapanで所持していたりする。カオスだ。
電子書籍は定着したが
電子書籍という言葉もすっかり聞き慣れるようになり、もはやKindleって何?とはウチのオカンも言わなくなった。使う、使わないは別にしても、電子書籍なるものの存在は人口に膾炙され、また愛好家がいることも周知の事実となっている。
まぁいまだに読みやすいのは電子書籍か紙か、という議論もあるようだが、一人の電子書籍愛好家として言うと、既に単純な読み心地という点では問題にならない。慣れである。慣れの問題である。機能的にはほとんどの点で電子書籍が優れるので、慣れてしまえば電子書籍のほうがよろしい。いまだ電子書籍が紙の書籍にかなわぬ機能といえば、ページめくりくらいのものだ(電子書籍でもサムネイルの一覧やスライド表示などで対応しようとしているが、不思議なことにページめくりの便には到達できていない)。
電子書籍の問題は管理である
今の電子書籍の問題は、読み心地ではない。電子書籍愛好家が今現在苦労しているのは、購入した電子書籍の管理である。今なお、本棚に勝るデジタルツールがないのである。
それにはいくつもの理由があるが、もっとも大きな問題は、もっている書籍がストアごとにバラバラになってしまっていることだろう。Kindleしか使っていないのであればあまり大きな問題にはならないが、複数のストアを使っていると、なんの書籍をどこのストアで購入したのか、という管理が別途必要になり、とてもそんな面倒なことはできないから、結果どこに何があるのかわからなくなってしまうのである。
なぜそんなことになるのかというと、各ストアで微妙に異なるセールをしているので、それらを有効に活用しようと、一つのシリーズが複数のストアに散らばってしまう、ということが倹約家(吝嗇と言わないでもらいたい!)の電子書籍愛好家には往々にして起きるのだ。
特に漫画などは、一つのシリーズが複数巻あることが普通であるから、1巻はKindle、2巻はKobo、3巻はBookLive、4巻はeBookJapan、5巻はHonto、などというカオスも起きうる。もっといえば、同じ書籍を複数のストアで購入してしまうことも本当によくある。いやマジで。かなり多くの人がやらかしてると思う。
また、既に紙で持っている蔵書も当然あるわけだから、それらの兼ね合いも考えると、電子書籍の登場で蔵書管理は複雑さを極めている状況だ。
解決するには
現状、電子書籍の管理問題を解決できる鮮やかな手段は存在しないように思う。個々人が努力して、蔵書管理するしかない。俺も蔵書管理のために、相当の労を払っている。そのためのアプリケーションでも開発しようかとさえ思っている。
抜本的には、システムを作る側の人たちに、もう少し歩み寄ってもらわないことには、なんともならない。そのパターンはいくつかある。
コピーガードを解除する
一番良いのは、コピーガードを解除することである。一部出版社は、ソーシャルDRMとして購入者の情報をpdfやepubに埋め込むことで対応しているが、その程度にしていただく。
もっとも、各社囲い込みに熱心な現状では、なかなか難しいだろう。
書籍の譲渡システムを構築する
あくまでコピーガードに拘るのであれば、電子書籍の購読権利を他プラットフォームに移すことを認めることも考えられる。たとえそのために幾ばくかの手数料を払うことになったとしても、管理の便を考えて一箇所に移す人は存外多いだろう。また、いざストアが潰れても他に移れる、という安心感は電子書籍の利用者数そのものを増やすことにも貢献するはずだ。
とはいえ、各プラットフォームでフォーマットは異なるようであるし、連携には相応のコストがかかる。それでもコストに見合うリターンがあると各プラットフォームが判断すれば実現できるかもしれないが、どう転んでもAmazon大勝利の図しか見えないので、まぁ難しいだろう。
読み放題サービスを拡充する
プラットフォーム間の連携も難しければ、現状の読み放題サービスを、音楽でいうSpotifyやApple Music、動画でいうNetflixレベルにまで拡充させることだ。
色々な蟠りを考えると、もはや将来的にはこの方向しかないと思うが、色々な話をなんとなく聞いている限り、現状のシステムではそれで利益を出すのは難しいのだろうとは思う。
印刷を前提とした旧来の仕組みが足を引っ張っている点も多くあるのではないかと思われるが、そうはいっても一朝一夕でどうにかなるものでもないし、そもそも皆がそうしたいと現状思っているわけでもない。特に我が国は保守的な人が多く、未だにCDが売れ続けているくらいだから、アメリカさえ手こずっている状態では、まだまだ先は長い。
利用者が増えれば
色々と書いてきたが、電子書籍を取り巻く状況はなお厳しいと言える。それでもたいていの新刊は電子でも発売されるようになったし、一昔前と比べれば品質もだいぶマシになってきているから、電子書籍はうまく使えば便利なレベルにはなっている。意思ある者から積極的に利用し、利用者を増やすことが、各プラットフォームの開発を後押しすることになるので、自分としては今後もどんどん使っていきたい。
コメント