作・光永康則。2巻出たのが2014年でそれっきりなんだが、今現在どうなっているんだろうか。
光永康則ということで手に取ったのであるが、こんだけ色気のない光永康則は初めてである。男二人の乾いた世界で、色恋の要素はほぼ無い。なので本来的に当サイトの管轄外ジャンルなのだが、光永康則なので…。
ホラー×ミステリーとのことだが、ホラー色もミステリー色も正直薄い。カコとニセ探偵(2014-2015年)もそうだったが、ミステリーというには、主人公たちの能力がファンタジックでチート過ぎる。
面白いのは、むしろ主人公二人の人間(?)性であり、関係であった。以下1,2巻感想。
ミステリーとかホラーとかいうよりは人間ドラマ的な
ミステリーとホラーの融合……というけれど、ミステリーと言われるとどうだろうな。たしかに主人公の片割れ、ヒサトは推理らしきものをするのだけれど、正直その推理如何よりも、興味深いのはヒサトと十郎のモノの考え方であり、二人の関係のほうだ。
いやね、ミステリーというには、二人の能力がファンタジーかつチートなもんで、どうにもこう、ミステリーっぽくないというか。これはカコとニセ探偵(2014-2015年)でも思ったのだけれど。俺はそんなにミステリー詳しいわけじゃないけどさ、むしろ詳しい人こそ、ミステリーとして読んだら鼻白むんじゃないかな。
そして、ホラーというには……ううん、これはもう全然怖い要素ないしなぁ。どちらかというと、異能力というほうがしっくりくるくらいだ。
なので、珍しく大真面目に長文な後書きがあったりしたけれど、うーん、どうだろうね、というのが正直なところ。ヒサトと十郎の協力プレイと、その距離感、関係が単純に面白い。人間ドラマ的だ。人間じゃないけど。
ラブコメでは表現できない「渇いた世界」
大真面目な後書きはちょっと笑っちゃったんだけど、その中で俺の興味を引いたのは、「渇いた世界」という言葉だった。渇いた世界、とな。そりゃまたハードボイルドだねぇ。この漫画は渇いた世界を描こうとしていて、かつそのためには男二人である必要があったと作者は熱弁する。
なるほどなぁ。どおりで、この漫画にはまるで色気がない。ヒロインは歳の離れた叔母さんとその娘で、上過ぎるのと下過ぎるのということで、色恋が非常に想像しづらいものな。
言われてみると、この世界観は男が作り出すものだなと思う(女同士でもいけない)。したがって、渇きは男女が作り出すラブコメの世界にはそぐわない。男女の絡みそのものが潤いだからな。つまり、この渇いた世界とやらは、ラブコメでは表現できない、あるいは表現が著しく困難な世界観だと言える。これは、個人的にちょっと考えさせられた。この漫画は、ラブコメで表現されるものの逆とも言えるのだろうか。うーん。
だがしかし、例によって巨乳の叔母さんは、意味もなく胸元をはだけさせ、ぷるんぷるるんと擬音語は振りまくシーンはある。やはりこらえきれなかったらしい。渇いた世界とはいえ、時には潤いは必要だね。は、は、は。
さて、それにしてもこの漫画、2巻が出たのが2014年。今2017年。ふーむ。3巻が出たら買うのだが……。
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