↑雛苺を中心に据えて、ひたすら桜田家のドタバタ日常劇場。なんて幸福なんだろう。誤解を恐れずに言えば、みんなが読みたかったローゼンメイデン。
基本情報
全3巻。ローゼンメイデンの雛苺を主人公としたスピンオフであり、パラレルワールド。作者はかるき春。原作はPEACH-PIT。驚きのりぼん連載。ローゼンメイデンのシリアスなところ、ダーティーなところはぜーんぶ省いて、ローゼンメイデンの珠玉とも言える、平和な日常話だけを延々とやり続けるという、おでんの卵だけ食べ続けるみたいな作品。胸焼けしてもしらんでー。正直言うと原作終わっても続けてほしかった。ただ原作めぐサイドの話が好きな人には物足りんだろう。後おでんは大根が好きだよ俺。どうでもいい。そうだね。
だいたいこんな感じ
ひたすら続くローゼンメイデンの幸福な日常話。
デフォルメしながらも、非常に原作を大事にしているのが見て取れる。少女漫画文化を新鮮に思いつつ、読みたかったローゼンメイデンがここに!という感じで、ファンの一部にとっては垂涎モノの作品ではなかろうか。めぐサイドの話は一切ないので、ローゼンメイデンでそちらの話が気に入っていた人には向かない。
人物
原作における雛苺との関係の濃さが、そのまま本作の出番の多さに現れている。唯一の例外は、雛苺の本来のマスター柏葉巴が1コマも登場しないことだろう…ちぇっ。
雛苺
↑天使の笑顔。原作では割と早く退場させられてしまったみんなの天使。曲者揃いの姉妹の良心。この子の天使っぷりを堪能出来るだけで読んでよかった本作。
この子の本来のマスターである柏葉巴は結局登場することはなかった。登場させてしまうと「なぜ柏葉家にいないのか」ということに触れざるを得ず、シリアスチックになってしまい本作の雰囲気にそぐなわなくなる可能性が高いので、仕方ない判断だったかもしれないが、水銀燈の扱いを見るにそのへん適当にどうにかできたような気はするので、なんだか惜しい。
真紅
↑くんくん好きっぷりは健在の真紅さん。本作で見られる数少ない可愛いところ。原作のメインヒロインだが、本作ではラスボス。いや可愛いんだけどさ。雛苺視点だと厳しいオカンって感じが強い。原作でもそうやろ?と言われるとそうかもだけど、ジュン視点なら女の子としての可愛さもいっぱい見えるやん。でも雛苺視点だとなんつーかオカン。よくて姉。いや実際姉なんだけど。原作ではそれなりにラブコメもしていたけれど(っていうか本来のメインヒロインですよメインヒロイン)、本作ではみんなのおか…おねーさん役に徹している模様。
翠星石
↑原作でも本作でもラブコメ担当。いや原作よりラブコメ度がマシマシされているかもしれない。原作では少女漫画に憧れていたが、念願の少女漫画デビューが叶った形である。もっともその役どころは彼女の希望とはだいぶ違うものだろうが。そう考えると原作のほうが彼女の望むラブコメに近かったかもしれない。というかさすがに本作は幼すぎるか。
雛苺と一緒になって大暴れする話が多い。思えば原作でもそういう話は多くて、とても面白かったけれど、雛苺が退場するから…うぅ。あーでも雛苺がいないから原作でもラブコメできた側面はあるかもしれない。ジュンと学校に行く話とか、雛苺がいたら絶対に雛苺が行きたがっただろうし。
なお雑誌の帯では思い切り「ジュンのことが好き」と紹介されていた模様。
金糸雀
↑雛苺の同じお子様枠で登場、金糸雀。原作では、真紅サイドと水銀燈サイドの両方と仲良くやれる、姉妹の橋渡し的な彼女だが、本作では雛苺とセットでそのお子様ぶりが存分に発揮される。お前ドールに年齢もクソもないとはいえお前本当に次女か。次女なんだよ。おしゃまという言葉がよく似合う。
お子様枠とはいえ、同時にかなり空気の読める子でもある。というか姉妹でダントツのコミュニケーション能力を持った子だと思うわ。人との距離の測り方がうまいというか。姉妹それぞれとダイレクトに繋がりを持っているのが強み。それはやっぱり実質末っ子の雛苺とは違う、次女だからなんだろうね(しかも上がアレだし)。中間管理職の憂鬱を知る子。そのへんは本作でも健在で、水銀燈ともうまくやってる描写がチラホラ。
蒼星石
↑原作含めて貴重な雛苺と蒼星石の絡み。原作より丸い性格。ただ原作で雛苺をからかう翠星石を叱る、翠星石のお目付け役だったのは本作でも健在。
基本的に原作を踏襲している本作だけれど、蒼星石についてはどちらかと言うとアニメ寄りな性格。原作ママじゃキツイと思うわ。金糸雀はみんなとうまくやれる一匹狼だけど、蒼星石はみんなとうまくやれない一匹狼なので。出番は水銀燈よりは多いが少なめ。
水銀燈
↑いじわるなお姉さん役。ただ真紅のライバルで、思いっきり真紅派閥の雛苺とは直接の接点が薄いため出番が少ない。子供が嫌いというか、子供をどう扱っていいかわからないタイプだし。たまに出てきても雛苺にしてやられて捨て台詞を吐いて去っていくバイキンマンみたいな役どころが多く笑える。デフォルメされてもなおなんだか色っぽいのはさすが。
桜田ジュン
↑本作の苦労人。原作本編の主人公だが、本作ではメインの一人扱い。ちょっとオシャレになっている?少女漫画でこのヒキコモリどうするんだとおもいきや、なんだかんだで少女漫画のお兄さん役をそれなりにこなしていて笑った。ただし人間性のひねくれぶりは健在。ストレートに感情をぶつける雛苺に心絆される話もしばしば。と思ったら雛苺の暴走の被害に合うこともかなりしばしば。でもヒナちゃんマジ天使だから。
なにげに料理が出来ていたが、原作でも出来るんだろうか、それとも少女漫画デビューのためのスペックアップの一貫だったのだろうか。設定的に器用な男なので、家事全般できてもおかしくはないが。雛苺と一緒だとおにーさんだが、のりがいると素直になれない弟になるのがいい感じだと思う。
翠星石からアタックされているが、こいつの女の好みは真紅なんだろうなぁ。
何故か最初のほう一人称が俺にされていた。わざとなのか気づいてなかったのか…。
総評
巴が出るまで頑張ってほしかった。巴が出てジュンといい感じになって雛苺がキャーキャー喜んで翠星石がキーキー喚く、そんな話がいつか見られると信じてたのにぃ。
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