144話きてた。6ページ。今回も千歳あざとい。このあざと千歳について桜から一言コメントいただきたい。
次で千歳編は一区切りになるんだろうか。この後の千歳の立ち位置はどうなるんだろうなぁ。本当にヒロイン化するんだろうか。芦花を差し置いて……。芦花も今回は出るけれど、完全にヒロインの親友ポジションっていうね。芦花よ。
6ページしかないけれど、毎ページのレベルでちーちゃんから千歳まで心象がぐるんぐるんと激しくしかし静かに変わっていくのを、目線と表情といくつかの言葉だけで表現している。本作は時々そういうことをする。
以下144話感想。
時をかけるツンツン頭
1ページ目は見た感じだけで圧倒的なヒロイン力を誇る幼き日の可愛いちーちゃん。尖ったものの良さを力強く語る在りし日のちーちゃんの目の先には、チックチクの髪の毛……はい、風間の髪の毛ですね。風間の髪を通して過去から現代までかける千歳。
風間の髪の毛をじーっと見ている千歳の呆けた表情はこれまでに風間が見てきたどの千歳の姿とも被らず、どうしたもんかととりあえず「大丈夫か」と聞いたところで、まさかの「ん!?大丈夫です」。ここの風間を見る上目遣いはめちゃくちゃあざとかったですはい。
これには風間も何事かとたいそうテンパる。まぁ、風間はついていけないよね。この短い時間で、読者目線では千歳の心理が目まぐるしく変わっていることがわかるけれど、風間視点ではまるで知らない人を相手にしているような感じだったろう。
ここの一連のやりとりは面白いので、ちょっと抜き出して丁寧に追ってみる。
風間「おい…会長…大丈夫…か?」
千歳「ん!?大丈夫です」
風間「です!?」
この段階では、風間の髪を通して現代に少しずつ意識が戻っている状態。ただし、精神的にはちーちゃんに近い。なので、風間からすると馴染みがなく、風間はなお戸惑っている。
千歳「いやっ…大丈夫!」
風間「(ん?んん?)大丈夫?」
千歳「うん」
風間「本当か?」
千歳「本当」
風間「普通すぎて逆に怖いんだが」
怪訝そうに本当に大丈夫なのか念押しで聞く風間に「うん」「本当」と短く答える千歳は、会長というよりどこか普通の女の子のようだ。風間も不気味がっているが、実際、この時点では精神的にまだちーちゃん分が強いと思われる。で、ここで例の玉を千歳が見つけたところで、呆けた表情が一気にキリッとする。
千歳「!風間!来るぞ!」
風間「なぬ!?うおおぉ!ヤロウ」千歳「ぶっ潰してやる!」
風間に被せる形で闘志を剥き出しにする千歳。ここでカチッと千歳になるわけだ。ただし、例の玉を怖がらない千歳である。つまり、千歳は千歳なんだが、今までと違う千歳である。風間も千歳の変化に気づいたが、その変化の激しさについていけていない。
ちーちゃんから千歳に
千歳になったところで、満を持しての芦花登場。「いけますね千歳」と、カッコいいけどお前の役どころはそれでいいのかヒロイン的に。それにやはり「うん」と答える千歳なんだが、ここの千歳は非常に落ち着いていて、また少しちーちゃんが混ざっているようにも見える。
というより、これが本来の千歳なんやろなぁ。ここまで、千歳は仮部の中でも一番喧嘩っ早く、基本闘争心剥き出しのファイターな顔を見せることが多かったけれど、千歳としてはちょっと無理していたのかもしれない。過去を知ると、なんだか弱いちーちゃんだった自分を隠そうとしていたようにも見える。
まぁ、千歳にとってちーちゃんはあまり知られたくない過去ではあったんだろう。芦花には千歳と言わせるし、過去を知るつむぎにちーちゃんと言われると、ちーちゃん言うなと言う。で、そんな千歳のことをわかったうえで、タマちゃんはあえて「ちーちゃん」と煽るのだね。
千歳はちーちゃんを心の奥底に封じたことで、今の強い自分を手に入れたが、それは虚勢である。千歳の中のちーちゃんは、普段は押し込められているけれど、ホラーが絡んだ時に突然顔を出して、今の千歳を乗っ取ってしまう。
そんなちーちゃんと千歳の断絶が、風間をとおして繋がった。ちーちゃんと千歳の間に連続性が生まれ、心の奥に押し込まれていたちーちゃんは、ここでやっと千歳になった。だから、千歳はもう例の玉なんて怖くない。
ということで、短いけれど本作でもやけに濃密な6ページでありましたね。この漫画はこれまでも桜周りで突然シリアスで丁寧な表現があったりしたのだけれど(地味にタマちゃんもシリアス寄り)、今更千歳でやるとは……千歳が可愛い……。しかしこれ、ケリついた後どうなるんやろなぁ……ヒロイン化するのかな……。
……いや、終わらないよね……?終わりませんように……(話の区切りがつきそうになるたびに祈ってる)。
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