『コードギアス 反逆のルルーシュ(漫画)』感想:ロボットの出ないロボット作品

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作・マジコ!。2006-2010年全8巻。アニメ版の感想記事で"暇を見つけて読もう"と書いてから約1年。ああ恐ろしい。3期とかマジかよ。なにかと忙しい現代の光陰は、もはやミサイルの域に達している。

さて、本作はアニメ・コードギアスのコミカライズ…なのだが、ロボットアニメにも関わらずロボットが登場しないという、非常に思い切ったコミカライズ。随所かなり端折っているが、アニメ50話分を8巻に詰め込んでいるので、色々とキツキツ。

漫画として再構成してはいるのだが……うーん、うーん、やはり荷が重かったのではという感は否めず。ファンブックかなぁ。

一応そこそこラブコメはしてくれる。カレンは恋愛脳だなぁ。以下全8巻感想。

目次

ロボットの出ないロボット作品

本作はアニメ・コードギアスのコミカライズで、1期と2期の内容を8巻に詰め込んでいる。どう考えても尺が足りない。ということで、設定からしてかなり端折っており、非常に多くの人物の設定が削られている。特にアニメの売りの一つであるロボット、ナイトメアが登場しないことは、非常に思い切った改変と言える。

まぁ……仕方ないのか。尺の問題もあるが、そもそもこの作者さんはあまりそういうロボットバトルみたいなのには向かなそうな人みたいなので、慣れないものを変に頑張って描くよりも、いっそやらない、という選択は無難なのかも。

ただ剣を振るうだけのスザクは、ルルーシュのライバルとしてはどうにも弱い…。たった一人で戦況を覆せるほどの力を持っているからこそ、頭脳派でギアスという反則技を持ち、天性のカリスマをもったルルーシュとも渡り合えるわけなので、本当にただの騎士ではなぁー……。

本質は力ではなく、ルルーシュとスザクの思想的な対立のほうだけれど、その対立がルルーシュとスザクの正反対の強い能力でもって表現されていたからこそ、物語として面白かったんだ。ナイトメアが無いにしても、もう少しスザクになにかしら力があってほしかったなぁと思うが、それだったらもうナイトメア出せよって話にはなるわなぁ。

同じく割りを食ったのがカレン。力を発揮する場面がほとんどなくなってしまい、恋愛脳なところばかりが目立ってしまった感。カレンの魅力の一つだとは思うが、それもこれも、時には切り込み隊長、時にはスザクと渡り合い、時にはルルーシュの盾となり、常に前線で身体を張ってきたからこそ映えるんだよなぁ。

逆に、元々バトルと無縁だったシャーリーは、アニメより魅力的だったかもしれないとも思う。マオに心の闇をこれでもかと責め立てられるシーンとかよかったね。他の人間ドラマが薄味になっていることもあり、相対的にも良かったと思う。

熱いバトル展開を削り、純粋に人間ドラマとして再構築したのが本コミカライズで、それは尺の上でも、作者さんの方向性的にも致し方ないのだろう。しかし、元のアニメは死闘の中で繰り広げられる人間ドラマが中心だったと思う。それがなくなるとねぇ……うーん……。アニメでルルーシュがスザクに「生きろ!」というギアスをかける重要な激熱シーンが、このコミカライズでは日常の中に溶け込む形でやられてしまうのは、本コミカライズの改変の仕方として実に象徴的だ。

コメディ系ならなぁ

とまぁなんだかネガティブな評になってしまったのだけれど、コミカライズとしてはすごい頑張って再構築したんだろうなぁとも思う。個人的にコミカライズを読む時は、いかに"漫画"になっているかを重視しているので、そういう意味では悪くない。悪くないんだが、やはり元の物語のスケールを表現しきれていないのも、わかってしまってつらい。

イベントの一つ一つを取り上げると、特に日常シーンではけっこう楽しめるところもあった。漫画らしい崩し絵も好き。番外編の、過去のルルーシュ・スザク・ナナリーの話とか、ルルーシュ・カレン・C.C.のちょいラブコメなんかも楽しかったわけだよ。こういう人には本編ママではなくて、コメディ路線のショートストーリーとか4コマ系コミカライズを描いてくれたらきっと楽しいものができるのになぁと思うのであった。

ところで出番を削られまくったキャラの一人、扇は、最後どっかの教師で副担任になるのだが、これはアニメ版の終わり方よりも支持を集めそうな気がする。小学校か中学校で担任しているくらいが、この男は一番幸せなんじゃなかろうか。

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