3巻の内容があまりカオスだったので、そっちの方向性か……と正直残念な気持ちになっていたのだけれど……4巻で一気にラブコメパート入った。しかも、深い。ナンセンスなギャグにしか使われてこなかった、ロボ子設定と桜坂の声フェチ設定が、一気に花開く。読むのやめなくてよかった……。
以下ネタバレ感想。
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プチ修羅場
本巻はちこたんvs猫屋敷。猫屋敷がとてもいい子であるし、やけに百合入れてくるから、修羅場展開にないだろうと思っていたが、ちょこっと入れてきた。修羅場あっての三角関係よな。
桜坂の基本スタンスがちこたんラブだから、修羅場んないと猫屋敷が本当にただの当て馬以外のなにものでもなくなってしまう。ちこたんの特殊設定で最終的に猫屋敷ルート入ったとしても、消去法的な選択でちっともラブコメ的においしくない。やはり修羅場らねば。
とはいえ、猫屋敷はいい子なので敵対関係になるわけではない。ないが、やはりちこたんが明確に桜坂を好きだということで、それなりにショックを受ける。桜坂の気持ちにも勘付いているので、このままじゃどうしようもないという袋小路。
桜坂の苦悩
猫屋敷の気持ちもわかるけど、もう桜坂・ちこで決まりやんなぁ、と思ったところで、ちこたん合成音声説。これはストーリーの根幹を揺るがす大事件。というのも、桜坂は元々ちこたんの声に惚れた声フェチ男だからだ。大いにショックを受ける。そして自分の恋心にすら疑いを向ける。
そんな桜坂の苦悩を聞いた猫屋敷は、好きな人に別の人が好きだと直接言われたショックもあるだろうに、そこで負けず、そんなの「好き」じゃないとばかりに否定する。猫屋敷は、桜坂に話しかけられて、いるはずもないと思っていた同志(オタク仲間)を見つけて、それから世界が広がってという思い出から始まり、誰にもさらけ出せなかった自分をさらけ出せて、そしてそれを受け入れてくれたことで、桜坂を好きになった。そんな猫屋敷からすれば、桜坂の言っていることはただ「声」が好きなだけで、そんなのは恋愛感情でもなんでもない。
皮肉なことに、猫屋敷の発破は桜坂の目を覚ます。確かにきっかけは「声」だったし、それは偽物だったかもしれない。でもその後の、ちことの慌ただしくも楽しい生活は本物だった。そこで感じた想いは偽物じゃない、ってわけだ。
そして、猫屋敷の突然の告白とキスを受けてなお、ちこを追う。これはつまり、ちこを選んだということだ……が。桜坂は一度聞いた声は二度と忘れないほどの、漫画が違えば能力者扱いされそうな特殊技能を身につけるほどの声フェチである。猫屋敷の言ったことは、100%は受け入れられないだろう。猫屋敷への気持ちもあっただろうし、その迷いが、泣き叫ぶ猫屋敷を放っておけず、途中で引き返し猫屋敷の手を取った。三角関係の行末は、まだわからない。
この展開はまさに怒涛のラブコメ。まさかここにきてこんなにちゃんとラブコメやるとは思わなんだ。
ミステリー的
ちこは桜坂が自分を好きになった理由を知っている。知ったうえで、誕生日に歌を聴かせようとした。これはどういうことだろうね。もし、本当にあの声がまるっと大嘘なら、ちこはなかなかひどい女ってことになるが。多分、まったくの嘘ではないのだろうね。けれど、本当の声というわけでもなさそうだ。ならばいったいなんだろう?
これは……うーん、先が気になる。どこかミステリーの様相を呈してきた。しかもその謎がラブコメの中核を突く。なんてこった、ただのエログロ描写がちょっと特殊なナンセンスギャグ漫画ではなかった。しっかりラブコメだったぞ。読んでよかった。
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