『分裂ラバー』1-3巻感想:本音ダダ漏れ女子を愛でるためなら世界観もぶっ壊す!

さわむらリョウ, 分裂ラバー 1, 2019

だいぶ前にポチって1巻は読んだ覚えがあるんだが、その先は読んだような積んでいたような……。

全6巻で完結済みと思われる。感情が溢れると分裂してしまうという、短編漫画のような設定の一発ネタ感を考えると、長く続いたんだなぁという感想。

ヒロインが分裂というか増えるやつだと相沢さん増殖なんかもあったが、この世界観は「誰でも分裂する」という恐るべきディストピアで、よく世界まとまっているなと変な感心をしてしまった。うちのクラスの女子がヤバいみたいに思春期女子限定でもだいぶすごい世界観だと思ったくらいなのに。全員になると、それはもうどうやってもギャグにしかならんのではなかろうか。

多分本作がやりたいのは、「好意ダダ漏れになる女の子可愛い」「本音がバレて悶絶している様もっと可愛い」という一粒で二度美味しいグリコスタイルだと思うんだが、そのためだけに世界を壊した罪深いラブコメ。話は案外真面目。以下1-3巻感想。

目次

世界観がディストピア

性欲が溜まると爆発して、分裂した自分が女子にセクハラかましてしまうという暗黒世界の話。普通こういう特殊能力は、主人公やヒロインに限定して特別感を演出するものだと思うんだが、この作品の場合がそもそも世界がおかしいということらしい。

確かにまぁ、感極まって分裂しちゃうヒロインとか完全に相沢さん増殖だし、探せば似たようなのは色々出てきてしまう気はする。

しかし、だからといって「誰でもみんな分裂する」までぶっ飛んでしまうと、「おいおい世界大丈夫か」状態になってしまうわけで、まずこの世界の舵取りどうなってるんだよとしょうもないことが気になってしまう。そこを気にさせず勢いでぶっ飛ばせるのが短編の良いところで、世界観的に短編向きなんじゃなかろうかと思ったが、6巻まで続いているので中々長い。

可愛い女子のためなら世界は壊れていい

中々長いんだが、やっていることは割とストレートにラブコメで、本音を隠した好きな子が不可思議な力でダダ漏れ素直っ子になるのめっちゃ可愛いよね、である。

だったらヒロイン限定にしたら……と思わなくもないが、ヒロイン限定にしてしまうとそこに理由付けが必要になってしまい面倒だ。いや、ヒロインが1人ならいい。この子はなんか知らんが特別だから、で済む。

問題は2人以上のヒロインを出してかつその子も分裂させたい時だ。そうすると、2人に共通する理由付けが物語として必要になってしまう。なんて面倒なんだ。ただ可愛い子が本音ダダ漏れの可愛い様を晒す姿を愛でたいだけなんだ。さらに本音を知られたことで恥ずかしがる姿を見て一粒で二度美味しいスタイルだ。そこに理由がいるのか。いや、いらない。よし、世界壊れろ

……とまぁ、世界観自体がぶっ壊れているので、作中の女子が分裂するのにイチイチ理由付けしなくてよいという構成になっている。実際、女子の可愛い姿を見たいがために世界をぶっ壊した作品だと思った。

まぁ確かに、ラブコメに限らず、物語のおいて重要なことはそこに登場する人間たちの切実な感情だと思うし、そのためなら世界のことなど些末なことだというのは一面の真理かもしれない。

意外と真面目

とはいえ、あんまりわけのわからん世界の中で、当たり前の感情のやり取りを見せられると、どう感じてよいのかわからずちょっと戸惑ってしまう。え、真面目?みたいな。

実際、本作は話自体はどうにも真っ当で、好きな子に好きと伝えられないとか、人との距離感がわからない、とか、伝えてはいけない気持ちを伝えてしまった、とか、普通に思春期の悩みっていう感じで、「え、この世界観でそれ?」という気持ち否めず。

いやだって、多分この世界はもうそれどころじゃないよ。もっとヤバいことなってるよ。

これは長く続けば続くほど感じるところなので、6巻はよく続いたなぁという感想。しかもこの想い溢れる世界で主人公・ヒロインはぶっちゃけ両思いスタートっていう。なんでくっついてないのか逆に不思議。

まぁでも、女の子は確かに可愛いし、それで十分だろ?って言われたらそうなのかもしれない。しれないが……。

うーん……正直、この世界観だったら、もっともっとぶっ飛んでほしかったなぁ。4巻以降ポチるかと言うと微妙。

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