『ぼくたちは勉強ができない』16-17巻(最終巻?)感想:少女は少年を見つけ出す

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筒井大志, ぼくたちは勉強ができない 17, 2020

おおぉ……クライマックスだとは思っていたが、今回で最後だったか……。

いやまぁ、最後っていうか、なんか全員分のifルートをやるみたいだから、最後ではないんだろうけれど、それはまぁファンサービスというやつで、基本的には本巻を物語の正史と見るべきだろう。

その結末は正直意外だった。そうか、なるほど……。同時期に似たような設定の「五等分の花嫁」も、奇しくも同じような結末だったと思うが、これは偶然か、それとも時代の要請なのだろうか。

どこまでも美少女至上主義のハーレム系ラブコメでありながら、最後の決め手は少年だった。少年を見つけ出した少女は誰だったのか?

以下実質的には最終巻と言ってよいはずの17巻感想。

目次

幼馴染大勝利伝説

まさかの幼馴染大勝利。マジか。

いや、正直うるかはないかなーと思ってた。個人的な予想では文乃だった。というのも、うるかはこの漫画の登場人物の中で随一の持てる者であり、これで恋人までゲットしたら恵まれすぎじゃね?という。それに引き換え、家庭環境に問題があり、また大学進学後も苦労が多そうなのは文乃で、もっとも成幸のサポートが必要そうに思えたので。

これはヒロイン目線の話だ。でもさ、この手の漫画ってそういう感じやん。関係性だけでいえば、主人公とヒロインズはだいたいイーブンだったと思うし、特にこの漫画は差をつけないよう非常に丁寧に描かれていた。そうすると、まぁヒロインの境遇とかつい考えてしまうわけだよ。

でもそれは問題ではなかった。問題は、最初に成幸を見つけたのは誰だったのか、もっといえば、なぜ成幸がここまでがんばれたのか、という話であった。

それはうるかのおかげだった。かつてうるかが、成幸を見つけたおかげだった。うるかに見つけてもらって、成幸は立ち上がることができて、その道の先に、文乃やリズや先生やあしゅみぃ先輩がいる。つまり、成幸の足跡をたどるとそこにはうるかがいた

ボーイ・ミーツ・ガール・ミーツ・ボーイ

あー……まぁねぇ。うん……そうだなぁ、ヒロインズが皆平等に描かれていたからこそ、最後の決め手はそうなるのかもしれないな。偶然か必然か、同時期に同じような設定で連載を開始したマガジンの五等分の花嫁もまた、同質の結論を描いている

これは時代の要請なんだろうか。単にボーイ・ミーツ・ガール、少年は少女に出会うってだけじゃないんだな。少女もまた少年に出会う。そして二人は手を取り合って共に歩む。

そういう時代なんだな、きっと。

文句なしに綺麗な構図

ってことで、うるかが告白した時点ではきっと振られるんだろうなと思っただけに、どうも成幸がちゃんと答えようとしているぞ、と気づくにしたがって「マジで」「マジか」なんて呟きながらページをめくったわけだが、納得感はある。まぁ実際、成幸にとって一番いい子な気もするし。

成幸とうるかの過去を知っているわけではないだろうが、ヒロインズも最後涙をのんで成幸の背中を押す。

筒井大志, ぼくたちは勉強ができない 17, 2020

この綺麗な構図は、最終ヒロインがうるかでないとできない構図だ。うるかに救われた成幸が文乃とリズを助け、そんな彼女たちが成幸とうるかを祝福する。うーん、こう描かれてしまうと文句なしに綺麗としかいいようがないな。

知られざる幼馴染ストーリー

ただ過去話最後に持ってくるのはちょっとずるくないすかー、とは思わなくもないでもない。その点は五等分の花嫁はネタは全部出して結論描いていたが……でもこっちは、五等分の花嫁と違ってマジで全ヒロインほぼイーブンに描いてたから、そんなエピソード描いたらその瞬間にヒロイン確定してしまうと思われたのかもしれない。

っつーか、妹ちゃんを復活させたのがでかかったんだなぁ。成幸にとって妹ちゃんの存在は大きくて、彼女を救ったことが成幸を救ったことでもあったんだな。妹ちゃんはそういう存在だったのか……妹ちゃんもうるか相手じゃ認めざるを得ない。

お疲れ様でした

ということで、幼馴染大勝利でござーした。一時期は敗北属性とまで言われた幼馴染も、ラブコメにおける主人公とヒロインの関係が問い直される流れの中で、再評価されつつあるのだろうか。ヒロインズの中で一番人気というわけでもなかったようだし、この結末は作者さんの想いが込もっているだろうと思う。

彼女たちだけではなく成幸もまた成長途中なのだって、当たり前の話だよな。だからこそ、うるかだったんだな。ここしばらくはヒロイン偏重で、ヒロインの想いばかりが強調されるものが多かったけれど、主人公の、少年の想いだって重要だよな。うん、当たり前だけれど、ちょっと忘れかけていたかもなー。

少年向けの正統派ラブコメだが、時代の流れも感じさせる一品でした。お疲れ様でした……と、まだ続くんだねこれ。

ifルート

これから、各ヒロインのifルートがこれから始まるらしい。本作は主人公成幸の好感度も高かっただけに、各ヒロインのファンはやはり成幸とくっついてほしかったろうから、ifとはいえ、公式でヒロインルートやってもらえたら、まぁファンとしてはそれ以上のことは求められんよな。

ここまできて結局ギャルゲーみたいなことするんかい、と思うと蛇足感もあるが、そこはそれ、作者さんの人の好さが出ている気がする。なんだかんだで皆魅力的だったから、成幸とくっついたパターンを見たいのもたしか。各ヒロインが妹ちゃんにどう許されるのかはちょっと気になる。

先生ルートに期待せざるを得ない。

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