福田晋一, その着せ替え人形は恋をする 1, 2018
着せかえ人形と書いてビスク・ドールと読めらしい。
これはよかね。属性的にはネガポジカップル、オタップル、オタクとギャル、同好の士、あとコスプレがテーマなのが特徴か。エロースな描写はそこそこといったところ。あとは少女趣味の男、という点で考えさせるところは少しあったりもする。
最近はオープンオタクもけっこうフツーみたいね。まぁ俺ん時でも大学くらいになったら特に隠すようなものではなかったなそういえば。しかしさすがにエロゲ好きなJKは実在するんだろうか?いや別にいなくてもいいのだが。
エロゲヒロインになりたい奇特なヒロインのコスプレをヒーローが手伝う構図なんだが、メンタル的なところではヒロインが支えになっている相補的な関係。内にこもった技術屋が、理解ある人に出会って世界が広がる展開っていいよね。
なんだかんだでガンガン系列のラブコメは肌に合うことが多いと思う今日このごろ。以下1巻感想。
オタップル?
片方オタクのカップルは、男女共にラブコメ界隈では時折見かける組み合わせだ。まぁ漫画好きって時点で必然的にオタクになるしね。夢として共感を得やすいのだろうな。
この漫画の場合はどちらもオタクのオタップル……なのだが、ヒーロー側が雛人形趣味(フィギュアではなく)という、オタクとしてはかなり硬派な部類なので、オタップル感よりは片方オタク感のほうが強いかもしれない。なにしろヒロイン側が、エロゲー大好きでエロゲヒロインのコスプレがしたいという漢の夢の塊みたいな娘なので……。
レイヤーさん
いやね、いくら最近はオタクも珍しくはないとはいえ、さすがにエロゲ、しかも凌辱系好きのJKはさすがにほぼいねーべ?乙女ゲーならそりゃいるだろうけどもさ。凌辱系エロゲのヒロインのコスしたいって、さすがに……いるの?いやいないよね。
レイヤーの世界は漫画系とはまた一線を画しているからなぁ。去年初めてコミケにいった時、レイヤーさんも見たけれど、いやー世界が違うなぁと思った。
そもそもの気質的なことを言えば、カプ厨系は自己同一化願望とかないからね。俺みたいに自分を徹底的に第三者視点に置くタイプには、レイヤーさんの気持ちはわかるまいね。服飾もそんなに興味がないし。
そこへいくと、ヒーローの新菜(わかなと読む……ってかスゲー名前つけたな)の雛人形趣味のほうが、硬派とはいえ鑑賞視点なので理解しやすい。綺麗を奇麗と書くのにこだわりを感じる。
とはいえ、自分を外に置いている点では理解しやすいものの、一人を崇めるような感覚は、ヒロイン・海夢(まりん)の自己同一化願望と本質的には近いのかもしれない。
漫画としてはカプもの
しかし、この漫画自体はネガポジカップルのラブコメを楽しむ、組み合わせ重視の漫画と思う。二人は特技も性格も相補的で、この手の漫画ではヒロインだけ頑張ったキャラ作りではなく、ヒーロー、ヒロイン共に考えられてセットになっているので、楽しみ方としてはカプ寄りだと思う。
基本的にはスキルをもった新菜がコスプレしたい海夢を助ける構図だが、精神的なところでは海夢が新菜を助けており、それはスペシャリストとリーダーの理想的な関係とも言える。新菜の世界が海夢によってどんどん広げられているのがわかる。そのうちに幼少期のトラウマも克服できるのだろう。ってかトラウマ作った女子はきっとそのうち再開するんだろうね。
少女趣味を持った新菜は生きづらさはよくわかるよ。俺の話すると、俺は赤やピンクが好きなんだけれど、大人になるまで言えなかったんだよね。姉が言うには、幼少期友達にからかわれたのかして、突然赤は好きじゃないとか言い出したらしいんだ。俺はその時のことを覚えていないんだけれど、でも確かに赤が好きって大人になるまでなんとなく言えなかったから、「あ、そんな心の傷あったんだ俺」と思ったよ。
まぁ言うてもこれは所詮色の話。それでもしんどかったから、まして、新菜みたいなガチの人形趣味(しかも雛人形)は、この国ではめちゃくちゃ生きづらいと思う。いやまぁ他国でもなんだかんだで生きづらいとは思うけどさ。日本は特にそうだと思うよ。
今でも、男で少女漫画読んでいたらイジメられる理由になりうるんじゃないかな。日本は社会的には確かに男尊女卑なんだが、裏返すと男らしくない(男らしいと一般的に思われないことを好む)男は生きづらいってのもあるんだよね。
海夢がオープンオタクで自信たっぷりなのは、持ち前の性格はもちろんとしても、容姿の整った女子であること、も大きいだろう。新菜もガッシリしたいい男だけど、雛人形好きでトラウマ故の自信の無さでは、文化レベル原始時代の学校生活はつらかろうなぁ。
まぁ海夢が可愛いのはもちろんだけれど、個人的にはむしろ新菜の今後の変化が知りたくて、次ポチろうかなという気になっている。
コメント