『それでも歩は寄せてくる』9巻感想:幼馴染みは告白フリー

山本崇一朗, それでも歩は寄せてくる 9, 2021

図書館がなぜか本作を置いている有能。図書館で借りて読むような本か?という疑問はあるが置いてあるんだから仕方が無い。少しは住民税の有効な使い方を知っているようだな(本当か?)

ということで9巻です。うるしが恋心を自覚してからの9巻は唐突な親登場など賑やかになっているが、一番読者の度肝を抜いたのはタケルと桜子であろう。いや読者みんながどうかは知らんが少なくとも俺は抜かれた。ビビった。サブカップルずるいの法則。この二人の関係は歩とうるしの関係とは良い対比になっている。

以下9巻感想。

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幼馴染み奥義発動かよ

この手のカプ確定漫画はだいたい主人公カップルとは別にサブカップルが存在する。関係イコール本編ストーリーの進展度である主人公カップルと違って、サブカップルは比較邸自由にやれるためか、しばしばメインカップルを食った展開を見せる。

とはいえ本作でそれが見られるのは予想外であった。というのも、だいたいそういうのはメインカップルが難しいことになっている局面で、読者サービス的にサブカップルがいちゃつくという構図が多いので、ストレス展開とは無縁の本作とは縁遠かろうと思えたからだ。

などという偏見にまみれていたため、図書館回における桜子からの不意打ちキスはタケルのみならず俺もびっくりした。タケルと一緒に硬直したわ。思わず「なんか飛ばした?」とページ戻してしまったわ。何も飛ばしてなかった。

いやマジで飛ばしてないよね?この二人告白の儀式してないよね?えーそうだよね、いくら俺の脳が老化してるとはいえ、さすがにそんな重大イベントは逃さないはず……。前の巻図書館に返したから確認できねぇけどさすがにしてないはず。

となるとそうか、いきなりのキスか。そうか。幼馴染みカップルにはこれがあったか。

大人と違い、青少年の恋愛において告白は絶対に必要な儀式で、それをすれば付き合っているし、しなければ付き合っていない。ラブコメはこの慣習を利用している側面があり、傍から見たら「おまえらもう結婚しろ」状態であっても、告白という儀式をしていないために付き合ってすらいない状態なのである。社会的な距離感と現実の距離感のギャップがもどかしくも面白い、本作がまさにその類だ。

しかし、幼馴染みなど、極めて近しい関係においては告白の儀は必ずしも必要ではない。もちろんそれまでの関係と正式に一線を画すものとして告白は有効だが、なくても良いのである。告白落ち、ありです。その場合は、これまでの関係の延長線上として繋がっていくことになる。

これは一つの魅力的な形だが、告白はラブコメ最大のハイライトであり、クライマックスであることもしばしばだ。そこでファーストキスを添えるのがお決まりだし、王道だが顧客の求めるものでもある。だから幼馴染みの関係でもラブコメならばちゃんと順番にはケジメをつけるのが普通だ。それをあえて外せるのは、サブカップルならではの醍醐味といえよう。

歩とうるしには必要です

タケルと桜子の幼馴染みな関係は、「告白」のためにめちゃくちゃ遠回りして苦労している歩たちとは対照的である。しかし彼らには告白は絶対に必要だし、先にキスはまずありえない。そりゃまぁお膳立てすれば可能ではあるけれど、よほどの前提が必要だし、また何をどうしたところで、来るべき告白という一大イベントの爆発力を大きく阻害することになる。そんな奇手は誰も望んでいまい。

ということで、この二人はどこまでも確実に関係を固めていくのがマストだし、その中で親公認はまぁアリ寄りのアリ。ラブコメだと別に親との関係が有利に働くパターンってそんなないけどね。個人主義の時代なので。まぁ本作は関係自体は元から確定しているから関係ないか。ただ父親との関係重たそうだったのに特に何もないまま「十数年ずっとスネてたの」はしょっぱすぎる気がするんだが、本当にっこれだけなんだろうか。まぁいいけど。

次は10巻。図書館にある限り続きを読み続ける。

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