作・武田すん。2006-2007年全3巻完結。
そこそこサービスシーンも入れつつ終わり。順当に終わったというべきか。
個人的には好きなのは大家さんより橘さん。面白いから。でも西園寺は大家さんのがいいんだろうね。生活感覚が近いし。
以下感想。
当て馬ヒロイン橘さんに敬礼
最後は中々の急展開。大家さんを喜ばせようと、バイトしてプレゼント買うも、すべてが裏目にでて、どういうわけだか喧嘩別れ、こじれにこじれて出て行けとまで言われたけれど、最後は全部誤解も解けてハッピーエンド。
…身も蓋もなく、超ざっくり書くとこんなところなのだが、ハッキリちゃんと説明すればそもそも誤解にもならなかったというのはある。それができないのが思春期の恋なのだと言われるとそうかもしれない。そもそも激昂した大家さんは西園寺の話をちゃんと聞こうともしなかったし。
でも、大家さんのためのネックレスを、橘に誤解されたとはいえ(橘もネックレスが自分あてに違いないと即思い込めるのはさすがであるが)、なすがままに渡してしまったのはやはりよろしくないように思う。店長の好意なのに、あのネックレス。そしてその誤解を解いたのが店長で、真実を知り大家さんに発破かけるのが橘という構図、ライバル関係の清算ではあるのかもしれんが、そこは西園寺にもう少し頑張ってほしかった。
とはいえ、なんのかんのいっても最後にはけじめつけて、二人共カッコつけずに向き合って互いの気持ちを確認し、しっかり誤解も解けてハッピーエンドなのだから、読後感は悪くはない。
最後の最後まで当て馬の役割を真っ当した橘さんに敬礼。なりふり構わぬ暴走っぷりが素敵だった。最後の勘違い劇場でネックレス持っていったのは、なんぼなんでも自意識過剰過ぎと思わなくもないが、それもこれも当て馬的役割のため。
けれども、西園寺には大家さんのほうが良いのだろうなとも思う。大家さんちょっとこじらせて面倒臭い性格しているうえに(恋愛禁止ルールはその面倒臭さの象徴か)、思い込みも激しく、早とちりで受けた誤解で、西園寺は凹んだり傷ついたりとろくな目にあっていないけれど、それで大家さんに腹をたてたりはしないのだから、まぁそんなところもひっくるめて好きなんだろう。暴走特急橘号を受けきれるタイプでもなさそうだし、大家さんと静かで落ち着いた、庶民的な家庭を築くほうが西園寺的には居心地がよかろうな。
延長戦っぽい感じはあるけれど、実質的に勝負は決まったようなものだし、落ち着くべきところに落ち着いたということか。
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