これコミカライズだったのか。印象深いタイトルだから本作の存在は知っていたけれど、ラノベ原作だったのは知らなかった。そして巻末後書きまで気づかなかったので、非常に丁寧かつクオリティ高いコミカライズだと思う。
しかし原作開始時期はもっと前ということを差っ引いても、非常に懐かしい雰囲気だな、とは思った。コミカライズ1巻は2023年だが、原作は2020年であったらしい。ちりばめれている一昔前のミームがそう思わせたのはあるかもしれないが、ラブコメ文法に一通り慣れた諸兄があえて一周して直球を狙ったようにもみえる。……いや、別にツンデレヒロインっていうだけでそう思ったわけでは……。
以下地味にラッキースケベもある1巻感想。あとがきが共感しかなかった。
タイトルに偽りなし
本作はツンデレヒロインのアーリャさんが、時々ボソッとロシア語でデレるという、本当にタイトルどおりの内容。20年代にここまで直球のツンデレヒロインは珍しいかもしれない。一昔はたくさんいたもんだが、まぁツンデレってどうしても態度が強くなりがちだから、誰も傷つけない一億総軟弱時代においては流行らない属性なのかもね。
本作のヒロイン・アーリャも平生の主人公に対するあたりはかなり強い。第一話から寝ている主人公が座っている椅子を蹴るなどなかなか暴力的。まぁ一昔前なら直接攻撃していたような気もするし、これでも令和スタイルかもしれない。
それを埋め合わせるかのごとく、ロシア語デレで締めていくわけだが、実は主人公はロシア語のドラマを見ていたらロシア語を習得できたスーパーハイスペックで、彼女のデレは筒抜けなのだった……という「ふぁ!?」となる話だが、どうもこの主人公、真面目にかなりスペック高いらしいことは定期的に触れられているので、そうなんだろう。
1巻最後は主人公とアーリャの出会いがどうだったかで終わるが、その頃の話にハイスペックぶりがあらわれているのだろうか。
ロシア語バレはしゃーなし
ところで、ボソッと言っているデレを実はわかってましたというのは、バレ方によってはけっこう人間関係にヒビが入りかねないので、確かに難しいかもしれない。好意を持たれていることはわかっているだろうし、なんとか軟着陸させたいところだろう。
一方でアーリャからするとかなりキツいことになっているのだが、実はデレる以外にもフツーに悪口もボソッと言っていたりするので、総合的に見ると誰もわからないのをいいことに母国語で言いづらいこと言っているという、めちゃくちゃ感じ悪いことしているのでしゃーなしかもしれない。むしろそれが完全にバレて赤っ恥かいていることでバランス取れている。
漫画読んでいる時に文字が読めない現象
あとがきは非常に共感した。「巻末の原作者SSってなんか読む気にならないよな」ほんとそれ。原作者SSに限らず、やけに長い後書き、作品の設定解説など、基本的に読む気にならない。脳が漫画モードになっていると、文字読めなくなる。
ただ時々するすると長文を読める作者さんもいて、それは久米田康治とか新井理恵とか。あの人たちはまぁ文字が多いので、脳が漫画モードになりきってないのかな?とか思ったりしていたのだが、本作の後書きを見て、そういうことではないかも、とちょっと思った。
というのも、本作の「巻末の原作者SSってなんか読む気にならないよな」という非常に共感できる文字列を見た瞬間に、脳が一気に漫画モードから小説モードに切り替わったような感覚があった。これは俺にとって非常に興味深いことだった。
つまり、久米田康治とか新井理恵とかは、その切り替えがうまい人、なのかもしれない。仕掛け次第で、読者の脳を漫画モードにしたり小説モードにしたりするのは、ある程度制御可能、なのかも。
まぁけっこう興味深い話ではあるんだけど、マジで全然作品と関係ない話なのでこのへんにしておく。
2巻はどうしようかなぁ。
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