弟が重度のシスコンで姉と結婚しようとしている、と思い込んでいる姉・近衛靄子が、弟・近衛輝のあらゆる言動を姉に対する求愛行動だと誤解して、そんなことはさせないと一人相撲を取る暴想処女っぽい話。3巻まで読んだ。あらすじだけきくといかにも姉ものというか、どう考えても姉ものだが、ラブコメ的には幼馴染ものな感じ。以下ネタバレ。
ギャグとしてのラブコメ
これは姉弟ものとしてはかなり異色というか、正直姉弟もの好きからは微妙なんじゃなかろうか。姉・近衛靄子については、明らかに弟のことをそういう風に意識しているが、弟・近衛輝は、姉の靄子のことを実際のところまったく異性として見ていない。もちろん、家族としては大事に思っている。だがあくまで家族としてである。本当にど健全な男である。これは…美味しくない。
ただ、本作はラブコメ要素をギャグとして扱っているので、弟まで姉を意識してしまうと、その方向性は大きく変わってしまうんだろう。それやっちゃうと、ギャグよりラブが勝ってしまう。逆に言うと、この方向性のギャグを続ける限り、この漫画は姉弟萌えにはなりづらいやろなぁ。やっぱり、姉弟萌えにはなにかしら異性的な何かが必要なんだ。
姉弟ものではなく、単なる姉萌え漫画として見るなら、弟大好きな美人なおねーさんの話なので、よいのかもしれん。また、ギャグとして扱われているとはいえ、ラブコメ要素もあるので、ラブコメ好きにとってもちゃんとギャグとして楽しめような。
むしろ弟と幼馴染がラブコメ的にはおいしい
そんな本作だが、近衛姉弟の幼馴染・黒瀬香澄については……ほぅ、という感じ。輝と香澄の関係は、純粋に幼馴染ものとして楽しめる関係で。特に靄子の自称ライバルが、輝にちょっかい出している現場に香澄が遭遇したとき、自分が彼女だからちょっかい出すなと割って入るのは、表向きは古くからの幼馴染としての友人関係があることをベースにしつつ、その背後には無自覚な嫉妬心が見え隠れしており、この構造はまさしくラブコメ。王道。
輝と二人で出かける際も、香澄と行きたいところがある、という輝の言葉に少しワクワクしつつ、その場所がゲーセンであるところにちょっと落胆するのも、その後なんだかんだいってゲーセンを存分に楽しむのも、輝がUFOキャッチャーでぬいぐるみをゲットしたとき、自分にくれるかも?とちょっと期待したのも、そんな帰り際に危ないから送るよ、と最後の最後輝に女の子扱いされて、似合わねーな!と笑ってしめくくるのも、幼馴染ものとして眩すぎるくらい王道。ゲーセンでも、しれっと周囲から彼女扱いされてたり。
近衛姉弟が一線を超えるところって正直想像できないんだが、輝と香澄がくっつく未来は容易に想像出来てしまう。香澄なら靄子も納得するだろうし。
嫉妬展開のあるなしが一つ試験紙かなぁ
まだ3巻までしか読んでいないので、実際のところどうなのか、ちょっとまだわからないんやけどな。
特に気になるのは、今後靄子姉が輝の交友関係で嫉妬するようなことが起こるのかどうか、という点。ここまでは、自称ライバルが輝にちょっかい出しても、靄子は輝が自分以外の女性に目を向けるなんて想像すらしない。だからこそ本作はギャグ漫画としての面が強い。これが、もしラブコメで定番の、ジェラるような展開があったりすれば、それは一つ、大きな分岐点だなぁと思う。別にギャグとラブコメは両立できるからね。ただ、本作の性質を考えると、方向性が大きく変わるなぁと。
なんかまとめ買いしちゃったので、読んでいくつもりだけど、この漫画、一冊読むのにけっこう体力がいる…w
どうでもいいけど頑なに「妹」という言葉が出てこないのはたいへん素晴らしいと思う。
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