当サイトはラブコメ漫画の感想ブログであり、場末ながらなんだかんだと数年続けており、気がつけば1000記事を超えている。SNSが流行って久しく、2020年現在に個人ブログという形で記事を書き続けている人はあまり多くない中で、我ながらよくやるわと思う。というか実際、みんなどこへ行ってしまったんだろう?
最近思うのは、もしかしてAmazonのカスタマーレビューなのか?と。昨今Amazonのカスタマーレビューは評判芳しくなく、俺も辟易とすること多いが、こと漫画については、メジャーなやつはアレだが、中々どうして、「うむむ」と唸ってしまうような良質なレビューも散見される。ありゃなんだ。
みんなどこへ行った?
今どきブログも流行らないのだろう。昔は個人の手軽な情報発信として大いにもてはやされたものだが、それはまだHTMLを自分で書いていたような時期だったからであって、各種SNSが流行って久しい今となってはむしろ骨太な類になってしまった。
とはいえSNSには種々の制約がある。オタク界隈で一番使われていそうなTwitterの140文字という強烈な制約は、ライトな用途であれば便利で気軽な制約である一方、ある程度まとまった文量で思いの丈を書き綴りたい時にはどうしたって不便な制約だ。
また、漫画家さんが活動している場でもあるので、距離が近すぎて忌憚のない感想を書きづらい、ということもあるだろう。いつどこで目に触れるかわからない。いや、それはブログも同じなのだが。実際目に触れることがあるので、俺も書き方にはそれなりに気をつけている(そう見えないかもしれないが)。
読書系プラットフォーム
読書用のSNSプラットフォームもいくつかあるが、流行っているとは言い難い。まぁそもそも読書系プラットフォームは小説が強い。最近だとアルなんてのがあるが、あれもまだまだだろう。というか、俺も一応アカウントはあるのだが、正直なところほとんど見ていない。期待はあるのだが、あまり大きくもならなそうだな、とぶっちゃけ思っている。なんだろな、意識高すぎるのかな。
掲示板
最近はもう見なくなってしまったが、掲示板で語る人は今もそれなりにいるだろう。だが掲示板は掲示板であって、一人が想いを長々たらたらと語るような場ではない。特に2000年代後半くらいから、長文レスは忌避されるようになったと思う。そもそも掲示板は血の気の多い人が多くて疲れる。
ブログ……はないよねぇ
かといって、ブログはやはり色々と重たいもので、2020年の個人のメディアとしては選ばれづらい傾向があるようだ。俺はまがりなりにも技術で飯を食っている人間で、Webもやっていたことがあるし、元より関心もあったので、自分でサーバーを借りて環境構築して運用して……などとしているが、これを普通の漫画愛好家に求めるのは無理があるな、とは思う。
実際には何も自分でサーバー借りずとも、無料ブログも色々あるのだが、ありすぎてどれを選んで良いのかわからないかもしれないし、なによりこれは初めてみるとわかるが、個人ブログなどというものは始めてからしばらくはビビるほどに人が来ないので最初の段階で心折れる多数。
それというのも、ブログに限らず個人サイトの客の流入は、もっぱら検索エンジン頼みになるからだ。まぁSNSと連携してすればそこからの流入も見込めるのだが、それはSNSをきちんとやっている人が、ついでにブログにも人を呼べるかもしれない、というものであって、まずSNSでそれなりに立ち位置を確立できていることが前提だ。で、それも中々に難しいものである。
なので、検索エンジン、つまりGoogleが頼みになるわけだ。しかしGoogleに評価されるには数ヶ月はかかるうえに、最近のGoogleは個人サイトを軽視し、愚にもつかないまとめばかりありがたがって重複結果で1ページ目を埋め尽くす。特に漫画はそういうことがよく起きるジャンルである。
まぁマイナーな漫画であればそれなりに引っかかるので、狙い目だと思うし、実際マイナーな漫画だと検索しても自分の感想記事しか出てこない、なんてことがままあるので、競争率も低い。なのだが、そういう漫画はそもそも検索する人自体が少ないので、アクセスが増えるかっていうとね。まぁそうだよね。
ブログを続けるのはしんどいことだ。
Amazonレビューの質の高さはなんだ
つまり、昔はそこそこかんたんに見つかった色々な人の熱い(あるいは妙に冷めている)感想が、昨今は非常に見つけづらくなってしまった、という話である。みんな流行りのSNSに流れたのか?なんて思うものの、どうもそこらへんにも集まっている感じがしない。かといってブログもない。
みんなどこへ行ったのかなぁなどと思いつつ、Amazonでいつものように漫画を買っていて思った。「もしかしてここか?」
俺はあまりAmazonレビューを読まない。ゲームや映画などで散々ひどいレビューを見て気分を害されたし、ネタバレになっていることもあるし、また誰かの感想に自分の感想が影響されていることを恐れていることもある。
そうは言っても、一冊数百円、2冊も買えば一ヶ月映画見放題できる、比較的高価な娯楽となってしまった漫画をタイトルと表紙の情報量だけで買えるものでもなく、1巻購入時などは特に、参考にすることもちょくちょくある。
で、見ているとこれが中々、案外、存外、しっかりしているというか、なんというか……。いやに質の高いレビューが散見される。
考えてみれば、ちょうどよいのかもしれない、と思った。
まず手軽。ブログのように用意すべきものはない。管理する必要もない。強いて言えばAmazonアカウントだけ。ネットをやっている人なら、アンチAmazonでもなければだいたいみんな持っているだろう。
人の目につく。Amazonで本を買う人は非常に多く、買う前に参考にする人も、なんだかんだ言われつつ多い。
簡易ながら評価システムがある。参考になったを押されると嬉しいし、よいレビューとしてAmazonのシステムで上位に表示されれば承認欲求も満たされる。
変なコメントがつきづらい。Amazonのカスタマーレビューに喧嘩を売る人は、まったくいないわけではないがほとんどいない。
作者と距離感がある。TwitterをはじめとするSNSは双方向コミュニケーションを是としており、そうすると人間どうしても気を使う。一方、Amazonに読むべき空気なんてものはない(基本的にはね。少なくともニッチな漫画のレビュー欄はそういう状態ではない)。正直な感想が書きやすい。
つまり、今のAmazonの漫画ジャンルにおけるカスタマーレビューは、ブログや種々のSNSが持つ弱点を見事に補っているわけだ。その結果なのかどうかわからないが、漫画においてAmazonのカスタマーレビューは非常によく機能しているというか、思わず舌を巻いてしまうようなレビューがそこそこ目につく。
もっとも、それはたとえばレビュー件数が10以下の中堅作品に限る。それを超えると、なんだか妙に掲示板とかまとめサイト臭くなってしまうようで、途端に参考にならなくなってくる。いやほんと、人が一定数集まるとつまらなくなる現象はなんなんだろうな。
が、俺が普段買うような微妙な人気の漫画は、Web発だと話は変わってくるが、レビューが多くても5つ程度ということも多く、そうすると、そのうちの1つはやけにしっかりしていて、非常に参考になるのだ。
なんだろうな。気兼ねしないという点では、ひょっとしたら個人ブログを超えるかもしれないな。個人ブログはレビュアーにも人格ができてしまうんだけれど、Amazonのカスタマーレビューだとそんなこともなく、本当に通りすがりの一意見、という感じになるしな。辛辣なレビューなんか、個人ブログより書きやすいよな、多分。
しかしいくら気兼ねしないとはいえ、まったくレビューのつかないドマイナーで、今後も自分以外レビューなんて書かないんじゃないかっていう漫画で、☆1をつけたあげく辛辣な批評を端的につけるのは、血も涙もない所業だからやめてやってくれやと思うが。時々ある。
なんにせよ、制度、文化、利用者数など、Amazonの漫画ジャンルにおける(他ジャンルのことは言及しない!)カスタマーレビュー欄は、どういうわけか一般レビュアーにとってちょうどよい土壌になっているようだ。うーむ。
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