『超可動ガール1/6』2巻感想:動くフィギュア嫁をツンツンしたい

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作・ÖYSTER。2013年1巻、2014年2巻。

フィギュアとの同棲生活第2巻。今度はゲームの世界でアレヤコレヤ…という展開からわかるように、二次元嫁が実体化したことが重要なのであって、フィギュアであること、つまりピグマリオン・コンプレックスな要素は極めて薄い。そういうのではない。

ではどういうのかというと、それはもうただただめっちゃラブコメである。ただ、1巻時点では好ましかった主人公・春人が、ヒロイン二人による修羅場展開の中でどうにも煮え切らない。本音が垣間見れたことは、今後の布石になるかもしれない。なかなか真面目にストーリー展開したはる。

それにしても「ツンツンしてかまいません!」は良かった。以下2巻感想。

目次

修羅場展開だって

思いっきり三角関係だった。なんと。1巻時点では、春人とノーナのいちゃラブ系カップル漫画だと思った。いちゃラブ系において、お邪魔虫キャラってのは基本的にいらない子だし、修羅場もあまり歓迎されない。確かにベルノアは春人に好意を持ってはいるっぽいけれど、ど先端ナースにおける悪魔っ娘のように、好意はあるが恋愛的なそれを明確に意識する類のものではなかろうと思っていた。なので、今回ハッキリとノーナvsベルノアが描かれたのは意外だった。

でも、必要かもしれないな。いちゃラブと言っても、恋愛描写のないアニメのヒロインであるノーナは、性愛のなんたるかをよくわかっていない。春人との付き合いも、あくまで「求められたから」であって、それが世間一般的に愛と呼ばれる類のものに起因しているのかどうか極めて怪しい。結婚なんてそんなもんだという見方はあるにしても、なんとも寂しい話だ。そして、そのことを春人自身も実はちょっと気にしていたらしいことが窺える↓。

ÖYSTER, 超可動ガール1/6, 第2巻

これは偽らざる春人の本音の疑問であり不安であろう。「キモいオタクの俺が女の子にラブったりされるはずがない」というネガティブな自信はよくわかる。それでも夢を見てしまうのは、俺嫁的価値観における葛藤でもあろう。

だがそれでも、これはノーナに対してあまりな言い草であるし、そのことを春人自身も承知しているからこそ、目を合わせられずにいる。それでも、言わずにはいられなかったということなのだろうが。

この二人の場合、どこかで本音のぶつけ合いをして、気持ちを確かめるということは必要ではあろう。だからこそ、身を引くつもりだったベルノアは、自分が当て馬になることを半ば承知のうえで、二人の間に立っている。本作で一番いい子かもしれない。ただ、それはベルノア自身が自分の置かれた立場(=フィギュアであること)を理解していないからできることでもある。

修羅場展開で一番難しいのは男の立ち回り方だと思うが、春人は若干煮え切らない上にひどいことを言ったので、微妙ではあるものの、状況が状況だから仕方ないのかなとも思える。が、その後の軽いサービスシーンに当たるであろう、ノーナとベルノアが春人を取り合ってキャッキャウフフなシーンは、ちょいと微妙だったな。ヒロインに迫られてデレデレする野郎という構図においては、野郎の心的葛藤がポイントだと俺は思うので、春人がただデレデレあわあわして終わったのは残念。オタクの夢が実現されたことについて、春人なりの熱い思いの昂ぶりを見たかったと思う。

ツンツン!

基本的には二次元嫁が実現化しちゃいましたというドリームが基調で、フィギュアである必然性はなく、たまたま実体化において一番現実とリンクさせやすかったのがフィギュアなのだろうという感じで、繰り返すが本作にピグマリオン・コンプレックスな要素は薄い。あまりあれこれやられてもたいへんだし、後書き見る限りそもそも作者さんにその気がなさそうなので(高いからといって買わずに店でガン見で済ませるのはそういうことだろう)、それはそれでいい。

いいのだが、非常にフェチを感じさせるシーンがあった↓。

ÖYSTER, 超可動ガール1/6, 第2巻

春人が浮気性なのはノーナが夜のケアしてないからじゃないの?という指摘を受けたノーナの提案。これは、無茶苦茶マニアックです。ううん。唸ってしまった。どうせならこういうネタいっぱいほしいです…。

ストーリー性が案外強いのはいいけれど、もっと日常的なラブコメ話が欲しいなぁとも思う。ラブコメは劇的な事件よりも、日常の積み重ねによるストーリー作りが基本であってほしい。いつの間にかツーカーで意志のやりとりができるようになってる春人とノーナとか、そういう描写が嬉しいよな。

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