『アカイロフラグ -Summer-』感想:罪深いほどに贅沢なラブコメの短編

オススメからです。

押切蓮介読んだの何年ぶりだろう。少なくともこのサイトではハイスコアガール以来だなぁ。あれ、もしかして最後に押切蓮介作品読んだのもこれだったかもしれない……。だとしたら5年ぶりか……。

あわせて読みたい
『ハイスコアガール』10巻(最終巻)感想:ボーイ・ミーツ・ガールの偶像を確かな希望に変えて 押切蓮介, ハイスコアガール 10, 2019 色々あったこの漫画もついに最終巻。ゲームに自分の意思を投影して、不器用な青春を送る少年少女たちの物語もついにクライマック...
最終巻だからネタバレ気をつけてね。

明るいのと暗いので振れ幅の大きい作者さんだけれど、本作は恋愛短編集ということで、圧倒的にハイスコアガール。見た目もハイスコアガール笑。短編らしい非常にスッキリした味わい。

そういえばハイスコアガールも1巻完結の短編でも全然いけたし、なんならそっちのほうが美しさは上だっただろうなと今でも思う。全10巻でも面白かったけどさ。

以下Webに公開されているSummerの分だけ感想。単行本はかなり最近のようだけれど、全然変わってないなぁ。……あ、この下は漫画読んでから読んでね……念のため。

目次

オススメ文

フォームがNotionで刷新された(宣伝)「管理人にオススメする」からです。早速ありがとうございました。

ハイスコアガールの押切蓮介の4話からなる連作短編集です。本作のオススメポイントは、なんと言っても「純愛」!ハイスコアガールでの甘酸っぱい恋愛模様が堪らなかった自分にはドストライクでした。独特の「押切節」は健在で、恋愛に焦点を絞ったストーリーがみられる貴重な本です。1話が公開されておりますのでそれだけでも是非……。

周蔵さん

そういえば最近押切蓮介読んでないなーと懐かしく思って、読んでみました。なんか全然変わっていなくてちょっと笑いました。押切蓮介はけっこう凄まじい作品も多いですが、まーラブコメ好き的にはやっぱり「こういうのでいいんだよ」とは思ってしまいますねぇ。

ホラー……?

押切蓮介作品久しぶり。作者さんは元々ホラーギャグ、その後もホラー強めの作品が多いが、本作はほぼほぼ純粋ラブコメ。純粋ラブコメなんだが、公式サイトのジャンルには「ホラー、怪奇」タグついていたりする。

「……?」と思ったけれど、まぁでも確かに、ホラー嫌いの人はマジで嫌いなので、つけておく必要があるのかもしれない。実際ホラー大嫌いなうちのあね様は、ホラー要素皆無で超純粋ボーイミーツガールであるハイスコアガールを表紙だけ見て「なんか怖い」と言って拒絶した。押切蓮介のことは知らない人なので、どこで察知したんだとビックリしたよ。なんだろうね、背景の雰囲気とかヒロインの目の描き方とかにホラーみを感じたりするんだろうか。

本作に至っては心霊スポットが舞台だったり、幽霊を思わせる描写も多々あるので、ホラータグつけないとホラー嫌いの人にブチギレられるのかもしれない。

ラブコメの美味しいところ

とはいえさすがに本作をホラーに分類するのは無理がある。これがホラーならGS美神もホラーだろう(古い)。本作は超がつくほどの正統派純愛ラブコメ。ハイスコアガールの1巻をさらにぎゅっとした感じ。

そして見た目もハイスコアガール。まぁいつもの見た目といえばそう。でも不思議系お姉さんキャラの大野(ハイスコアガールのヒロイン……一応注釈)に見えてなんか笑ってしまう。見た目主人公と同世代なのに、年上っぽい感じなのは、幽霊を思わせる叙述トリックなんだろうか。まぁでも大して引っ張るようなネタでもなく、さらっとオチがついて、綺麗な短編だったな。

ラブコメとしてもとても綺麗で、美しいところだけを切り出したやつという印象だ。これは贅沢だねぇ。

短編なので深くは語られていないけれど、主人公・ヒロイン共に子供としてはだいぶ過酷な境遇にあることが背景で語られている。この二人の物語に深入りすれば、そういう生々しさに触れることになるだろう。そうするとどうなるかはハイスコアガールが良い例である。ハイスコアガール面白かったけどね。冒頭に載せた昔のハイスコアガールの記事で、1巻ではなく最終巻を選んだのは、記事タイトルの「ボーイ・ミーツ・ガールの偶像を確かな希望に変えて」にある当時の俺の気持ちを想起したからだ。

本作についてはハイスコアガールの1巻がそうであったように、ボーイ・ミーツ・ガールの偶像とも言える美しさがあった。でもこの先が描かれることがあれば、美しい偶像ではいられないだろうなと思う。

美しいところで止めるのも、あえてその先に行くのも、どちらにもそれぞれの楽しみ方がある。ただまぁ、この偶像を鑑賞するような楽しみ方は、贅沢で罪深いよな。でもそれもラブコメの楽しみには違いない。本作は短編とのことなので、この先を想像するもしないも、読者にお任せといったところだろうか。これも人によるだろうけれど、俺はまぁ、ここで止めるかな。罪深い。

  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 実は一話だけ、ほんのりと狂気が垣間見えるエピソードがありまして、そこだけ後味も少し悪くホラーと言えないこともないです。でも単行本書き下ろしでフォローはしっかりされます。

    • なるほど、悪い押切蓮介も覗かせていると笑
      このサイトでは取り上げてないですが10年くらい前は暗い話がやたら多かった気がします。
      ところで調べていてハイスコアガールに続編あったの今さら知りました。

コメントする

目次