なんか2年くらい前にポチってたの忘れてまたポチってた。電子書籍ユーザにはよくあること。仕方ない……仕方……ない……。
そしてこの愉快な漫画を、なんとも言えない心地で読んでいる。10……いや5年前だったらまた別の感想を抱いただろうか。
なんというか、誠実な漫画だなぁと思った。まぁやってることは現代日本の倫理的に不誠実なんだけれど、みんながテキトーに流していることを真面目に描いてコメディに昇華しているのは、なんか誠実みを感じる。だが作中はその勢いにあてられても、いざ読み終わって冷静になると「いや何しとんねん」になるという。
以下2-3巻感想。とりあえずミリカは好きです。
第三の女
もっとポンポン彼女増やすのかと思ったけどそうでもなく、第三の女・ミリカは2巻で登場以来3巻が終わってもなお彼女にならず。というか直也が彼女になることを拒絶していて草。まぁ確かに三股はね。
いや二股も当然ダメなんだけどさ。まぁでも二股も三股も同じってことはないしな。実際イスラームが一夫多妻を許容しているのは有名な話だが、四人までとしているようだし。当たり前だが数が増えるごとに難しくなるわけで、その限界値がどこにあるのか、既に現代日本の枠組みを超えている直也は自分で決めるしかない。
というか直也は既にいっぱいいっぱいだと認めているので、直也の観点で言えば、もう無理、にしかならない。
ついでに言えば第一夫人と第二夫人も第三夫人の登場は当然のことながら歓迎していない。つまりミリカは完全に招かれざる押しかけ女房であり、しかもその相手は二股野郎ということで、これは確かに相当変わっているというか、相当突飛なヒロインであることは確か。
まぁ実際2,3巻はほとんどミリカが大暴れするばかりだったね。俺この子好きよ。なんかこう、必死で。直也家の庭でキャンプ始めた時は笑ったわ。必死な子はいつだって素晴らしい。
狙うは略奪愛
ってかミリカが狙っているのは決して第三夫人ではなく、略奪愛である。既にいる二人の嫁と仲良くなる気はさらさらない。なので直也のファーストキスを半ば強引に奪うことになるが、これについて二人のヒロインが泣くほどショックを受けているのはけっこう印象的だった。
というのも、最近何故かドタバタラブコメの名作・らんま1/2を再読しているのだが、あの作品では主人公・乱馬のファーストキスはけっこう軽く奪われていた。乱馬自身はそのことにショックを受けるものの、ヒロインのあかねは気にしていないわけではないが、非常に気に病むというほどでもない。
まぁ乱馬とあかねは本作のように恋人同士ではなかったのだけれど、80年代のあの時代、男のキスはラブコメにおいてもだいぶ軽い扱いだったことがわかる。世間のイメージはどうだか知らないが、貞操観念は昔よりも厳しくなっているのではなかろうか。
どう足掻いてもアウトなのに
この厳しい現代倫理の中で、本作はどこまでも突き抜けていく。突き抜けた設定なのに、その過程を妙に丁寧に描く様からは謎の誠実さを感じる。だがどう足掻いても、一夫多妻は現代日本の倫理からはアウトなんですそうなんです。作中でもそれは何度も何度も確認されている。多くのラブコメ漫画がテキトーに流すのに、本作はこれでもかとしつこく取り上げ、大真面目に向き合う。その向き合う様はギャグなんだが、何か本質的に訴えかけるものも感じる。
まぁ個人的には一夫一妻制度は人類の叡智だからちゃんとやろうねという考えだけれど、ラブコメ漫画にまでそれを求める気はないので、本作の展開は見ていきたい……と思っているけどこれ全16巻なの長いなーって。ぐぬぬ……。
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