『ふたりソロキャンプ』2-3巻感想:一人でも社会的になれるし集団でも社会的になれない

多分前読んだ時よりも楽しめたような気がする。ぶっちゃけヒロインよりもオッサンのほうに目がいってしまう厳さん漫画。

厳さんはソロキャンプを愛しているが、同時に社会というモノを大事にしてもいることがわかる。それこそがまさに社会性というべきものだ。集団でうぇーいして場を壊すことは社会性ではないし、コミュ力でもない。

ソロであること、もっといえば孤独であることは、社会的ではないとは言えないし、みんなで集まっているから社会的だとも言えない。そんなことを考えさせられた。

え、ラブコメ。あ、あるよあるよ、ちゃんとあるよ。以下2-3巻感想。将太の寿司に続くオッサンのアヘ顔漫画はこれだ

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オッサン漫画

本作はフレームワーク的には歳の差ものになるため、年上男の厳さんの説教シーンがどうしても多くなるのだが、それがけっこう面白く感じられるのは、俺もまたオッサンなんだろうか。特にキャンプのマナーについて語るときの厳さんは印象深かった。

ここが……こここそが、俺たちの居場所なんだからな……

ふたりソロキャンプ 2

ここで俺”たち”という表現を使うところに、厳さんの考え方が見て取れる。これは目の前にいる雫だけではなく、もっと大きな、人間そのものを指しているのだろう。

人と人が集まって、社会ができる。そしてその社会は、自然の中にある。そういう大きな枠組みを意識できることが、社会性というやつなんじゃなかろうか。自分たちのことしか考えられないのでは、いくら集団で集まったところで迷惑な動物でしかない。

社会の、自然の一員として立ち振る舞う。これこそ人の社会性というべきものだし、その意味でソロキャンプもまた社会的な活動なのだ。

やはり人間関係……人間関係はすべてを解決する

まぁやや説教臭いことは否めないので、ともするとキャンプ雑誌を漫画に起こしただけみたいになってしまいかねないところでもあるが、そこは厳さんと雫の関係が少しずつ進展していくことで、漫画としての面白さを損なわない構成。

これは本当に大事で、やや反面教師的に引き合いに出すのは気が引けるが、本作を読んでいるとさぐりちゃん探検隊を思い出すんよね

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さぐりちゃん探検隊は惜しい作品だった。探検というテーマは珍しく、またヒロインも可愛らしかった、が……探検というか自然の魅力を伝えという想いが先行したのかどうか、後半はもう行ったことない場所のるるぶみたいになってた。つまり、キャラクターの人間関係という根幹がおざなりになっていた。これは色々なジャンルで起きることで、たとえば料理漫画ならば特に興味が無いご飯のレシピ本状態になる漫画があるし、ファンタジー漫画ならばやったことがないゲームの設定資料集状態になる漫画もある。

本作も題材がキャンプで、知識的なところも多いのだが、厳さんと雫の関係や心情が丁寧に描かれているため、漫画としても面白く感じられるし、そして結果、俺もキャンプ行きてぇみたいな気持ちになれる。飯漫画で飯食いたくなるのは、実写のような飯が描かれるからではなく、キャラクターがうまそうに飯を食うからなのに似ている。

オッサンのアヘ顔のためじゃないんだからね

ということでなんだかんだ楽しんだものの、厳さんのやけにハードボイルドな風貌のため、ラブコメとしては入り込めない面はある。アヘ顔晒してくれているがそれだけでは……アヘ顔晒すオッサンっていうだけなら野原ひろし昼メシの流儀もそうだし……。

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昼メシの流儀はネットミーム化したこともあり、妙な面白さがあるが、読んでいても別に飯食いたい気にならないのは、やはりオッサンのアヘ顔で飯は食えないからだろう。

本作が楽しいのは、どこまでも厳さんと雫の関係に依るところ大きいと思うが、今後どうなるかな……。

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