『週刊少年ガール』3巻(最終巻)感想:秀逸な野郎向けラブコメショートショート

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作・中村ゆうひ。連続系短編オムニバス。最終巻。何か現代小説めいた1巻、カップル感強まり普通のラブコメっぽくなった2巻に続き、この3巻は少し幻想的な少女漫画っぽい仕上がりの印象。感じとしては1巻に近いけど、1巻が現代小説の短編なら本巻はラブ分強めのショートショート。

また、あくまで少女漫画「っぽい」であって、基本的には少年漫画の文脈。こういうの見るたびに昔のガンガンを思い出す……あの頃のバランスだ……。

ほぼ全員顔と名前が一致しない系(ある意味リアル)だけどどれもいいと思える。ラブコメに必要なのは強烈な個性でもヒロインの太ももでもなく、どこにでもいる彼と彼女の恋心なのだなぁと再認識した今日この頃。

以下最終巻である3巻感想。もうちょっと読みたかった。久々の当たり。

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久々に当たりを引いたぞ

終わっちゃったよ。いやーよかったな。これはよかった。この漫画は当たりだったわ。久々にテンション上がった。

女子のスカートがそこそこの長さなのがええな。最近の野郎向けラブコメヒロインは、歩くだけで真正面からパンツ見えるだろレベルだったりするからなぁ。しかもそれが清楚キャラだったりするからよくわからん。太ももは男と女の緩衝地帯という話をどっかで聞いたが、胸や尻のように直接的過ぎない性的部位ということで、便利なのか、昨今表紙で太ももさらす綺羅びやかなヒロイン溢れる萌え漫画界である。

ということで、そういうあざとさはないものの、これはこれであざとい表紙であり、やっぱり野郎向けなんだなと思わせる。ただし、女子の見分けがつかない。話を読んでも、最初から最後まで、ほとんどのヒロインの顔と名前が一致しないのであった(武西だけは顔と名前が一致した。いつまでたっても口だけダイエットで好きな子もとられたけど、また好きな子ができたので地獄で待っている子)。

でもそれも、ある意味ではリアル。女子の顔ってけっこう同じように見えるものなぁ。ぱっと見で見分けのつきづらいクラスメートけっこういたわ。でもそんな、長編のヒロインにはなれない感じのモブっぽさがまたよかった。別に印象に残るルックスと個性なんかなくっても、いいラブコメはできるんだとよくわかる。名も無き男女が一組揃えば、それで十分なんだな。

基本ショートショートだけど長編にしてほしいものも

話そのものが面白いんだ。1巻の印象は現代小説だったけれど、この3巻の印象はショートショート。設定は幻想的でありながら、調理方法はシンプルで、スッキリした味わい。そこで語られる彼と彼女の関係はどれもニヤニヤ必至の良質なラブコメ。うーん素晴らしい。

物理的にくっついちゃった男女の話みたく、1話で綺麗に落ちている話が多いけれど、中にはこれ長編にしてくれたらいいのにと思う話もある。この巻だと、羽が見える男子の話、夜だけテンションマックスなウサギと狼男の話あたりは、続き読みたいなぁと切に思った。ってか続きあったらマジ買うわ

狼男の話は特に少女漫画感強いかも。というか、全体的なノリ自体は、幻想的なところのある少女小説というか、少女漫画というか、どちらかというとそちら方面の印象。奇抜な設定でありながらも、どこまでも恋愛一辺倒であるし、細かい理屈は考えない。物理的現象の意味自体はどうでもよくて、その元となる人の気持ち、感情、ただそれだけが大事という。したがって、超常的ではあるけれど断じてSFではない(有名SF作品をもじったタイトルはあるが)。

でも漫画の構成は少年漫画なんだなー。漫画の途中に唐突に挟まれる自分語りもないし。ヒロインの可愛さに焦点を絞っているし。ただ、結果としてカップルが描かれるし、そのカップル感がとても高くてラブコメ的にむちゃおいしい話はある。けれど、基本はヒロインなわけで。ヒロインの恋する姿なわけで。

野郎向けのラブコメで、ヒロインの単純な可愛さ、個性に頼るのではなく、どこにでもいそうな普通の少女Aの、恋をする姿を通してその可愛さを語るのは珍しい部類じゃなかろうか。これは短編ならではかもしれない。でも、それがいい感じに結実されていて面白い漫画だったよ。満足。

それにしても、ワグナリアも真っ青の色ボケ学園だな!

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