『週刊少年ガール』1巻感想:現代小説みたいな恋する少女特集

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作者・中村ゆうひ。作品自体は全3巻で、2014-2015年にかけてやっていた模様。

表紙の子がヒロインというわけではない。いわゆるオムニバス形式で、いろんな女の子の恋する模様が、少年誌的文脈で描かれている。短編らしく、奇想天外で幻想的な設定が多く、現代小説みたいだなっていうのが第一印象。基本的にはヒロイン推しだけれど、中にはカップルものとしても良いものがちらほらとある。

1巻が無料で読めたので試し読みのつもりだったが、面白かったので2,3巻も買ったよ。続巻はまだ読んでいないけれど、ひとまず1巻感想。

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基本はヒロインを堪能する感じ

オムニバス形式の短編集。各話では、一人のヒロインに焦点が当てられる。だいたい恋する女子の話で、必ずしも男子側にはスポットライトが当たらず(というか半分くらいは当たっていない)、基本的には恋する女の子の可愛さを楽しむ漫画でだろう。ややもすれば少女漫画的にも取られかねない本作だが、ヒロインを堪能する漫画ということで、やはり少年向けと言える。

と言いつつも、男子もそれなりに恋しており、それが女子側と噛み合っている話などは、なかなかのカップル系いちゃラブ爆発漫画に仕上がっている。そういうのは、このサイト的にもおいしい内容。また、数は少ないものの、中には男が主役でヒロインがオマケだな、という話もあり、1巻だけでもけっこう多彩。

現代小説みたい

また、本作のもう一つ大きな特徴は、短編という特性を大いに活かした、奇想天外で幻想的な設定が多くぶち込まれていること。彼女に恋をしたが故に、文字通り骨抜きになってしまった男子、殻に閉じこもるがそのまま現実になってしまった彼と彼女、SFめいた平行世界、語り出すスカートなど、どうやっても長編にはできなさそうな、無茶苦茶なネタが乱発される。第一話からして、身体に漫画が浮かび上がる女子の話やしね。最初はてっきりこの話が続くのかと思った。

それでいながら、その奇想天外さは多くの場合作中で平然と受け入れられる。その突飛さは物語の本質ではなく、ただ彼と彼女の懸命な青春と恋模様を彩るための一要素に過ぎない。なんだか現代小説みたいだなぁという印象を受けた。特に語り出すスカートの話なんか、そういう短編小説ありそうだわ。「このページを透かして読むと…?」なんていう実験漫画みたいな電子書籍泣かせの表現まであり、こんなところもまたそれっぽい印象を抱かせる。

お気に入りの話が多い

ラブコメ好きとしては、どの話もなかなかどうして面白くお気に入り。語り出すと一話一話全部語ってしまいそうで、逆に何も語れない。その中でも好きな話はなんですかと言われると、先述した語り出すスカートの話、表題「恋するスカート」だろうか。これは発想に感心したし、またスカートの捲れ上がる様子はちょっとエロス。スカート自体が一種の象徴であり、なかなか深読みさせる。スカートと恋のライバルになる展開など、もう少しこの先を読ませてほしいなとさえ思う。ただこの話は、残念ながらカップル感はかなり薄味なのであるが。

ラブコメ的には、全部打ち返す女の子と、その姿に憧れる男の子の話「ベストポジション」が一等おいしい。ヒロインが特殊であることの多いこの漫画の性質上、男子を語り手に持ってくるほうがラブコメ的にはおいしくなるっぽい。

そんな感じで、思いの外楽しめてしまったので、2,3巻もそのまま購入。楽しみ。

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