『渡くんのxxが崩壊寸前』7巻感想:今の所案外しっかり青春劇場

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作・鳴見なる。2019年7巻。表紙はイマイチ存在理由のよくわからない後輩ちゃん。当て馬にすらなれていないところが悲しい。

一応今回もそれなりに出番はあるのだが、基本的には愉快な石原一家との話が主。というか石原母が怖すぎるのです。いわゆる毒親。娘に対し過剰な保護欲求があるのはわけありな御様子で、そこに徳井も絡んでいるあたり、知りたくない闇がありそう。

しかしこの漫画、演出は不穏(特に次回予告)なのだけれど、物語自体は割と真っ当に青春しているように思える。でも最後の紫vs紗月の流れは不穏かもしれない。以下7巻感想。

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不穏なる母

表紙は後輩ちゃんであるけれども、本巻でもっともインパクトが強かったのは、良くも悪くも石原母。高校生にもなる娘の情事に立ち入って、決して直接的ではない言葉で娘の彼氏に破断のプレッシャーを与える恐怖の母親。怖すぎ

逆境に燃える若さよ

ただまぁ、親に歓迎されない恋愛は、直人と紫にとって大きなプレッシャーではあっても、障害があるほど燃えるロミオとジュリエット効果なんてのも世の中にはあるので、プレッシャーは逆効果であったかもしれない。

石原母の思惑とは裏腹に、直人はより真剣に、紫と向き合おうとするし、紫は紫で、親の干渉から逃れようと躍起になっている面があって、結果的に二人の心理的距離は縮まったように見える。

直人は、兄妹二人になってからは妹第一主義であることに精神的な安寧を見出していて、それは紫と付き合ってからもあまり変わらなかったのだけれど、今回はハッキリと紫のことを第一に考えようとしていることが見て取れ、それは大きな変化だと思う。

まぁ紫も直人のシスコンぶりに惹かれたところはあって、実際そのような発言もしている以上、妹のことを出されたら何も言えないだろうけれど、そうは言っても付き合い始めたからにはやっぱり彼女である自分との時間も大切にしてほしいと思うだろうしね。だから直人が、バイトして鈴の面倒みて、と多忙の中で自分と会おうとしていることが嬉しかったのだろうし。

そうして、あの親にド直球で立ち向かって、ひとまず健全なお付き合いを許されたのは快挙ではあるが、門限18時って飯も食わせない気だよこの人。やだねー。まぁでも、後ろ暗い気持ちをもたずに向き合えるのはよいことだろう。

ここまではうまくやっている

とまぁそんなこんなで、多少の障害はあれども、ここまで二人は案外うまくやっている。二人ともちょっと頑張りすぎていて、バテたり変な方向に行ったりしなきゃいいけど、くらいの心配はあるが、タイトルと表紙の印象からすると、拍子抜けするほど順風満帆に見える。

ただそれが、まだ仕掛けの段階だからなのかどうかはわからない。少なくとも、渡と紗月の過去の経緯も明らかになっていないし、そこがわからない限りは、物語の中に不穏な空気は流れ続ける。読者を高いところまで連れて行って突き落とす気なら、御免被りたいところである。。。

紫 vs 紗月

まぁ実際、いまにも壊れそうな関係に見えることも事実。それはやっぱり、渡と紗月の関係があるからだ。この二人の関係は、単なる幼馴染というにはあまりに近い。それでいながら、お互いに必死に距離を取ろうとして、なお磁石のように引き合っている。

紫も、彼氏と近すぎるこの不届きな幼馴染の存在は気になって仕方ないのだろう。偶々、紗月が学校をやめる(紗月の口から言われていないので、紫の早とちりの可能性もある…)ことを耳にした紫は、居ても立ってもいられず、紗月の家に押しかけ、鈴に聞いた思い出の料理を振る舞い、紗月の本心を問い質そうとする。

「館花さんも 本当は渡くんのこと好きなんでしょう?」

何を思い出したのか、紗月は涙を一筋流す。紗月は「別に」としか答えないが、否定しないのがある意味答えではある。ただそうだとして、現彼女にこんなことをされては、心中穏やかではあるまい。まして紗月は、直人と紫がくっつくならそれでよいと、一歩引いた立場でいたわけだし。黙っていなくなるつもりであったとしたら、そのほうがよいと考えていたわけだし。折角身を引こうとしているのに、相手から立ち入ってきた、しかも自分の過去に関わる、デリケートなところにまで。

そっちがその気なら、と思ったのかどうかは知らないが、紗月は自分が乗る電車を紫に伝える。このことを知れば、直人は性格上必ず見送りに行く。そうなれば、ただ「はい、さようなら」という展開にはならないだろう。だから、紫とすれば言わずにおけば、それが一番平和。紗月も「別に言わなくてもいいけど…」と意地悪な一言を添えている。

まぁ、ここまでしておいて、言わないなんてことは紫にはできない。それができるなら、そもそも紗月の家に上がり込まなかっただろう。紫は、直人と紗月の関係が気になって気になって仕方ないわけだ。

それで、紫は直人に紗月のことを電話で伝える。そのうえ、ただ戸惑っている直人に対して、わざわざ自分から「お別れ言わなくていいの?」と直人の背中を押すようなことまで言う。そのうえで、「お別れ言ったら 戻ってきてね 私のところに」と言って一方的に電話を切ってからの「信じてる」のメッセージ。

これは……幼馴染と決別してこいってことでしょうか。なんとなくあの母親を彷彿とさせる重さを感じなくもない。紗月との関係を曖昧なままにせず、きちんとしてこい、と?それは誰のためなんだろう。紫も自分がやっていることの意味を自覚しているのか、「結局 渡くんを試すことになっちゃった」と涙を滲ませる。それでも気になる二人の関係。

最後、紗月は見送りに来て「少し話そう」という渡を、ぐっと引っ張って電車の中に引き入れる。しかもこれ当分止まんないやつ。紗月は何を考えているのか。石原さん派の人はヒジョーに不安な展開であろう。自分は紗月派なので、けっこうワクワクしているのだが。

まーでも、直人と紫も応援したくなる二人ではあるなーと、本巻読んでいて思った。何もなければうまくいく二人だと思うけれど。みんな真面目だよね。できればみんな幸せになってほしいけれど。

それにしても、登場以来まったく本筋に絡まず空回りを続けている後輩ちゃんよ。彼女はちゃんと物語に絡むんだろうか。。。

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