『さんかれあ』美少女だったらゾンビでもいいむしろゾンビがいい

はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻
はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻

↑美少女だったらゾンビでもいいむしろゾンビがいい!割と上級者向けな本格派ゾンビラブコメ。ゾンビなヒロインもすげぇが、キズ口を縫う姿にニマニマするゾンビっ娘フェチな主人公の変態ぶりもなかなかハイレベル。

ちゃんとゾンビものしながら、しっかりとラブコメしている稀有な作品。故に、のほほんとしたラブコメをベースにしながらも、常にどこか退廃的な雰囲気を纏っている。

基本情報

マガメガ MAGAMEGA | さんかれあ

さんかれあ 公式ホームページ|TBSテレビ

さんかれあ - Wikipedia

全11巻。2010-2014年連載。作者はウミショーやおとぎのまちのれなのはっとりみつる。ゾンビ好きだったんだねぇ。タイトルはヒロインの名前であるが、同時に著名なゾンビ映画サンゲリアのパロディ。

ちゃんとゾンビでちゃんとラブコメってのは珍しいんじゃなかろうか。俺は他には森繁拓真(代表作:となりの関くん)の学園恋獄ゾンビメイトくらいしか知らんが、あれもメインのヒロインはゾンビじゃないしなぁ。真正面から、ゾンビっ娘がメインヒロインってのはなかなか…。

いつ頃からか、エロスの世界ではやたら増えた気がするけど。エロスは魔窟だからなぁ…。

なにげにアニメ化もしているが、話はどこまでやったんだろう。

だいたいこんな感じ

色々あってゾンビになった礼弥を、千紘が責任とってメンテナンスしつつラブコメる話。ゾンビなんで維持だけでもたいへんなんだわ。気を抜くと意識混濁して人間襲うし、身体は朽ちるし、死後硬直もあるし。でもそんなところが愛しくて愛しくてたまらんでござるな変態ゾンビフェチ主人公・降谷千紘と、本当にゾンビになっちゃったけど生きててもクソだから別にいいやなメインヒロイン・散華礼弥の、ゾンビなラブストーリー。メインというからには、当然サブヒロインもけっこういる。敗北臭がひどい幼馴染わんこや、ゾンビを研究する科学者ダリン、それに可愛い妹。うーん豪華。

開始早々メインヒロインが死んでゾンビになるという超展開でありながら、主人公の千紘がゾンビフェチであったり、かつ礼弥が生前の生活に絶望していたりということが影響して、あまり重さを感じさせず、愉快なゾンビラブコメな感じで話が進む。しかし、後半に行くに連れて、ゾンビ化がいよいよ深刻になり、話はどんどんシリアスに傾き、最終的にはほぼシリアス一辺倒になるので、読むなら一気読みがいい。コメディな要素も、話が進むと実は物語の構成因子であるなど読み応え十分。

これだけの長さで、本格的にゾンビものやっておきながら、しっかりとラブコメしている。こんな作品早々なかろう。

人物

主要人物。

降谷千紘

はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻
はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻

↑変態ゾンビフェチ主人公。はっふーんじゃねぇよ。ガチなゾンビっ娘萌えという上級高校生。猫型。愛猫が死んだらマジで生き返らせようとする人。

とはいうものの、命の大切さを軽んじているわけではない。猫ならともかく、さすがに人間である礼弥に対して蘇生を試みることはできなかっただろう。直接的に自分のせいではないとはいえ、ゾンビ化した礼弥の面倒を見るのは、ゾンビ萌えという特殊性癖の影響はあるだろうが、それ以上に責任を感じていたはず。礼弥のゾンビ的行動についつい見惚れてしまいながらも、はっと我に返り礼弥に対してもっと危機感を持て、と喚起することもままある。変態ではあるがマッドではない。彼は紳士なのだ。

そうは言っても、ゾンビっ娘とラブコメできてしまうのはやはり上級者と言わざるをえない。自分で腹を縫っている姿にニマニマし、「おなか壊さないの?」という質問に対する礼弥の「ゾンビだから既にお腹壊してますよ」という回答に、「夢見ていたゾンビ萌え会話たまらんたまらん」と興奮して鼻血垂らす様は、言い訳できない変態

そんな変態男だからゾンビっ娘に恋をした?いやいや、そうでもない。確かに千紘はゾンビ好きだが、ゾンビ好きだから礼弥を好きになったわけじゃない。もちろんゾンビなところに興奮してはいるんだけれど、それは一種の照れ隠しでもある…そんなところが、読み進めていくとだんだんわかる。千紘の礼弥に対する想いは、決して単なるゾンビ萌えではないし、責任感でもない。それがこの漫画のラブコメ的に素晴らしいところなんだ。変態なのは変わりないけど。

散華礼弥

ゾンビなお嬢様。毎年変態親父に成長記録として全裸を撮影されている本当に可哀想な子。家庭がウンコ過ぎるが故に、人生に絶望している節があり、そのためかむしろゾンビ化してからのほうが楽しそう。割とゾンビ生活を謳歌している。

Wikipediaだと主人公と解説されていて、間違いなく本作の看板キャラではあるんだが、主人公というよりはほぼヒロインポジション。話の中心にいるという意味では主人公かもしれんが。

わんこ(左王子蘭子)

はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻
はっとりみつる, さんかれあ, 第1巻

↑初登場シーン。何をしているわけでもないのに、滲み出るお色気。強調される胸、短いスカート、健康的な太ももと、わかりやすいお色気アピールで、特殊なメインヒロインに代わって読者にサービス。お色気担当巨乳部門。必然性のないサービスシーン多し。主人公の幼馴染なのだが滲み出る敗北臭

単なるお色気担当ではなく、千紘の理解者であり腐れ縁でもあり、どんな時でも千紘の身体を第一に考え、それでいながら千紘の想いをなにより優先し、また千紘の味方である彼女は、千紘にとっては救いでありまた戻るべき日常の象徴(敗北系幼馴染にありがちなんだが…)。

さらに礼弥にとっては気兼ねない同性の友人でもあり、恋敵であることを認識しながらも礼弥の後押しをしてしまうとことん損な役回り。恋愛はワガママになったほうが勝ちみたいな面がどうしてもあるのぅ…。

その立場上どうしても物語の中核に関われないのだけれど、重要なポジション。礼弥よりこの子のが好きって人も多そう。

降谷萌路(妹)

お色気担当ロリ部門。ストーリー上の癒やしであり、巻末で読者の欲望に応えるという役割。ブラコンじゃない程度のお兄ちゃん想いな子で微笑ましい。

ダリン

はっとりみつる, さんかれあ, 第9巻
はっとりみつる, さんかれあ, 第9巻

↑天才科学者な女の子。といっても、どう見ても14歳には見えない。千紘にとってはアドバイザーであり良き仲間でもある。ストーリー上のヒロインはこの子かもしれない。少なくとも、パートナーといえるのはこの子だろう。

礼弥は振り回すほうだし、蘭子は物語の中核には絡めないし、という状況で千紘とは違う立場であるものの共に戦う仲間であり、千紘と一番絆を深めるのは彼女かもしれん。礼弥よりこの子のほうが好きという人もこれまた多かろうなぁ。お姫様なヒロインよりもずっと主人公と共に戦ってきたサブヒロインを好きになるパターンで。俺も個人的な好みではこの子が一番好き。

礼弥がウリの漫画なんだけれど、なかなかどうして他ヒロインもレベル高くて素敵であり悩ましくもある。礼弥がゾンビで、他の子は人間だから、妄想は余地はあるぜよ。

総評

まっとうにゾンビでまっとうにラブコメ。それがすごい。