『野村24時』1巻感想:萌え系の4コマで主人公のオッサンに萌えてしまうなんて…!

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板倉梓の萌え4コマ。割と電子版が1巻無料になってること多い気がする。昔読んだと思っていたが、読んでみたら読んでいなかった。歳は嫌だね。しかし電子書籍は手軽に即購入できて便利だけれど、それだけに買ったまま忘れる率が半端ないなぁ。

そんでこれ、面白いです……。何がいいって、萌え系の4コマで、冴えないオッサンが三姉妹と同居っていう一見「はいはい」な設定なんだが、それで主人公のオッサンが一番萌えるという新境地。不憫萌え。美人な三姉妹と同居って時点で不憫ではないんだが。ラブコメ的には長女か次女か?いずれにせよ歳の差。

以下1巻感想。

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虐げられるくらいが楽でいい

冴えない35歳のオッサン野村は不遇の人生を送ってきたようだ。そんなオッサンが何故か、三姉妹の住む田中家に「番犬」として迎えられ、同居するようになる。普通に考えて本当に「番犬」というだけではないと思うが、少なくとも表向きはそうであるし、またその扱いもナチュラルにけっこうひどい↓。

板倉梓, 野村24時, 第1巻
板倉梓, 野村24時, 第1巻

↑田中三姉妹の長女(会社の同僚)と野村。これは全然緩い方で、長女・雪の野村に対する言い草はかなりひどいことが多い。だが、野村は何を言われても特に否定するでもなく、そうかな、くらいの態度なのである。むしろ、ちょっと持ち上げられるとどうしてよいかわからない。虐げられるのに慣れていて、悪口くらいのほうが気が楽になっている。ああ、いる。こういう人はいるんだ。

しかし、雪はなんだかんだいいながら、野村を家に迎え入れた張本人でもある。雪は少し抜けたところのあるのんびりしたおっぱいさんのようであるが、一方で芯はしっかりとしており、考えもなしに35歳・独身のオッサンを家に入れるわけがない。「番犬」という名目であるし、それは嘘ではなかろうが、それだけでもないだろう。雪が野村を迎え入れた意図については、特に次女・月の口からちょくちょくと示唆されている。

長女の姉妹からの信頼は大きく、野村が田中姉妹に受け入れられたのは、雪が連れてきたからだろう。特に月はたびたび「雪姉がいいなら」と口にしており、その信頼度の高さをうかがわせる。これだけ妹たちから信頼されている長女のしたことだから、何かあるはず。

普通に考えると……なんだが、どうもあまり恋愛的な感じはしないんだがなぁ。どうなんだろうか。むしろラブコメ的には次女の月っぽいんだが。それとも雪なのか?うーん。

達観

読んでいて一番野村という人間について感心させられたのは↓。

板倉梓, 野村24時, 第1巻
板倉梓, 野村24時, 第1巻

そもそも野村が田中家に居候することになったのは、父親が押し付けた莫大な借金の返済のため、家賃がかからず仕事も紹介してくれる(バイトだが)田中家に居候すると野村的にも助かるからである。とはいえ、やはり35歳の男が、年下女の子の家に厄介になるのは、世間体だけでなく、本人の気持ち的にも抵抗はあろう。ただでさえ冴えない人生で、さらに身に覚えのない借金まで押し付けられ、父親を恨んでも仕方ないところだが、それを野村は「疲れるだけ」とする。

これはいいのか、悪いのか。ただ、初めからそうだったわけではないだろう。「疲れる」というより、正確には「疲れた」のではないだろうか。その重みが、35の人間にしては深い皺となって彼の顔に刻まれている。

こういった描写が、ギャグ調の日常の中にうまく溶け込んで表現されており、またほんわかした生活もあって、全体的にとても魅力的な作品に感じられた。野村のキャラクター性と、それを取り巻く三姉妹との関係がとてもいいね。

なお、上画像が次女と三女。ラブコメ的には次女が一番近いと思うんだが、女子高生であり、さすがに色々と問題がありそうな気もする。次巻以降、どうなるかな。

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