『まじとら!』5-6巻(最終巻)感想:TSとラブコメの妙味

香椎ゆたか, まじとら! 6, 2019

6巻で完結。ええ……ゆるゆると細く長く続くものだと勝手に思っていたから不意打ち……。残念極まりない……。

TS + 魔法少女と際どい属性を打ち込んできたにも関わらず、とても盛り上がらない漫画なのだけれど、その盛り上がらなさがよかったんだよなぁ。

終わるなら南とかりんはもっと接近してほしかった。でも、そうするとTSものとしては終わり感も漂うよな。TS + 幼馴染は魔性の相性だと思うが、終わらせ方は難しいのかもしれない

以下5-6巻感想。

最後まで平坦でよかった

本作はTS + 魔法少女という特殊な属性であるにも関わらず、これ以上ないほどの日常ものであった。もうとにかく盛り上がらない。その盛り上がらなさが逆に良い。戦闘シーンを全部省略する感じが良い。そうだね、そこじゃないよね、この漫画は。

戦闘シーンはもちろんだが、日常においても本来ならハイライトになりそうなところをさくっと省略するところは変わらない。5巻のお祭り回など、全員集合してコスプレしたらそれで終わり。「みなさんのおかげでとってもにぎやかなお祭りになりましたわ」で終わり。特に次回に続かない。あ、ここからお祭りでキャッキャウフフしないんだ、みたいな。お祭りでは何も起きないんだ、って。ほんとにただコスプレしたかっただけなんだ、って。それ普段と背景以外変わってなくない、みたいな。

このハイライトだけ切り取ったような平坦さが妙に魅力的だったのは、なんだろうな。案外、漫画の魅力ってそういうところにあるのかもしれないな。なにがあったか、ではなくて、キャラクターが何を思ったのか。まぁ、大事なのはそこだよな。南と優衣のデート回とか、デートそのものよりも「行きたければ行けばいいじゃない!」と頬を膨らませて勝手に怒るかりんや、二人のデートにショックを受ける麻羽(魔王少女の変身前)の姿のほうが印象的だったしな。

幼馴染カップルはもう少し進展してほしかったが…

万事につけこのような展開なので、最後の最後、南とかりんのTS抜きの男女の姿で遊園地デート回があったのは、読者サービスならぬかりんサービスだったのかもしれず(デート中は何も起きず、出来事を思い出のアルバムのように何コマか繋げただけなのは実にこの漫画らしいなー)、まぁそれだけでもこの漫画としてはたいへんなことなのかもしれない。

かもしれないが、やっぱりもうちょっと進んでほしかった、とも思う。かりん告白までしたのに、まさかの勘違いオチ。それ、ラブコメで一番してほしくないやつ……。

香椎ゆたか, まじとら!, 第6巻

↑この一世一代の告白がチュロス宛てはつらい。多分この漫画通しての、唯一といってよいハイライトじゃなかろうか。まぁ、さすがに南も違和感は感じたらしく、自分に向けられたものかと一瞬錯覚して(錯覚じゃないんだけれど)、恐らくはそのためにちょっと固まったのだろう。

このかりんは南にとっても印象的なものだったらしく、この可愛さを再現するぞ!と張り切るのだが、無理だろう。これは恋している人の特権だからね。もしも南がこの時のかりんばりの可愛さを発揮できる日がくるとすれば、それは南がかりんに告白する時だろう

そしてその瞬間を俺は求めていたのだけれど、残念ながらそれが描かれることはなかった。まぁ考えてみれば、TSってのも難しい属性で、(本来の性別に対して)異性の恋人ができた時点で、TSとしてはなにか不純物が混じるような気がする。というか、下手するとTSがラブコメに飲み込まれてしまいかねない

TSラブコメは難しいのかなぁ…

いや俺はラブコメ好きだからそれでもいいんだけれど、TSを追い求めるならそれはちょっと嫌かもね。しかしラブコメは強い…。南と麻羽がTS後の姿でイチャイチャする姿とか非常に楽しかったし、そういうのがいかにもTSっぽい面白さ、かもしれないのだけれど、それを上回るパワーが、ベタベタな男女ラブコメにはある……。

非常にさっぱりした南のキャラがよかったのはもちろんだけれど、そんな南のことが好きで、男の姿でいてほしいかりんの悶々とした姿が、この漫画を映えさせていたと同時に、TS的な魅力を削ぎかねない劇物でもあったなぁと思う。だから、箱庭ループ的に終わらせるには、南とかりんにはくっつけるわけにはいかなかったのかもしれない。最後結論が出されるボクガールなんか、これ以上ないくらいの終止感があったものなぁ……。うまい具合に、ラブコメとTSを絡めて相乗効果をもたらせながら、最後まで突き抜けることはできないものなのだろうか。男女という概念を揺さぶるTSは、ラブコメに妙味をもたらせてくれそうなんだけどなぁ……。この漫画は、その妙味を感じさせてくれるものだったんだけどなー……。

もっと読みたかった

いずれにしても、ここで終わってしまったのはちょっと残念だった。気軽に楽しめていただけに……。もっと読みたかったなぁ。作者さんがまた何か出したら、読んでみようかな。

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