『共学高校のゲンジツ』6巻感想:ゆっくりとした青春に心地よさを感じる

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作・さぬいゆう(原作)、伊丹澄一(漫画)。2017年6巻。

男向けのラブコメは表紙の女子率が非常に高く、この漫画もご多分に漏れないのだが、女装男子ならばOKという謎の了解もあり、見事に(?)奈良木が表紙ゲット。新里久々に出るけど一番進展しなさそうな二人ではある。奈良木の女装話は、女装への反応がないという点でこの手の漫画における女装ネタとしてはあまり見ない感じの話かも。

今までで一番普通にラブコメしていた気がする。草野・内浦・奈良木のトリオがつるんでいる描写が少なめで、代わりに男女の話が多かった。あと保延にちゃんと同性の友達がいてなんか安心した……。

ゆっくりと流れる青春の時間が眩しく心地良いラブコメだと思う。以下6巻感想。

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奈良木の女装話は実に”らしい”感じ

一番印象部かかったのは奈良木の女装話。この手の漫画で女顔の男が女装するのはもはや定番であり、文化祭という舞台も相まって、ネタ自体は珍しくもなんともない……ただ、これは実にこの漫画らしいと言うべきなのだろうが、周囲の反応が薄い。いやもちろん、奈良木を女子生徒と思い込んで、男子トイレに行こうとする奈良木をお説教する先生などもいるわけだが(十代しかも共学高校で今だけ男族はさすがにいないのではなかろうか…)、肝心の奈良木を知る人の反応というと、これがあまりない。

一応草野や内浦とは会うのだが、さらっと流されるし、さらに奈良木のお相手として描かれている新里に至っては会わない。周囲が女装似合いすぎやんもう女でいろよって囃し立てる中で、それはダメ!と一人拒絶するのが、ラブコメヒロインの見せ所なのだが、会わない。まぁでもそうナイスタイミングでいつもいつでも居合わせるもんじゃないしね、ということで、実に"らしい"ですな。これはこの漫画の良いところだろう。

新里は随分久しぶりに登場した気がする。奈良木の捨てたペットボトルに口をつけようとするなど割とアウトな子になっていた。なんだかこじらせている。草野、内浦と比べると、奈良木・新里は中々どうにもならなそうな気がする(告れば付き合えるだろうけれど)。

普通にラブコメった人たち

一方内浦と大江戸は完全にラブコメ。最後、内浦が奈良木に慌ててゲームを返すところまで含めてパーフェクトラブコメ。ここは、内浦が本当にそのつもりだったのかとか色々解釈できるけれど、それはあまり問題ではない。肝心なことは、彼と彼女が一緒に帰って、また目的を忘れるくらいにはそれなりに楽しげであったこと(内浦が忘れっぽいことは前提としても)。この場面は、普通にラブコメだった。

草野と保延、尼妻もなんだかんだでラブコメ。まぁこの3人は割と毎回ラブコメしているが……。ただ今回は、草野の母親に会うというパーフェクトラブコメ。この母親がまたいかにもラブコメ主人公の母親である。また、草野にガールフレンドだと誤解されるから何か言えと促された保延が「ご想像におまかせで…」普通にあざとく普通にラブコメ

そういや保延にちゃんと同性の友達がいてなんとなく安心。尼妻ともそれなりに良好な関係が築けている模様。まぁもし草野と尼妻が付き合ったら縁がなくなりそうな気もするが。

ゆっくりとした青春ラブコメ

この漫画はなんだかんだで青春してるしラブコメしてる。その意味では、タイトルはやや大袈裟かもしれない。ただ、かなり控えめではある。いわゆる"劇的"な展開が皆無であり、本当に時々、ちょっとだけドキッとするような描写がちらりとある。それくらいのゆっくりとした青春劇が心地よいラブコメ漫画。

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