『かぐや様は告らせたい』1巻感想:二人の主人と二人の奴隷を地で行く、お似合いのカップルだと思う

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作・赤坂アカ。

負けるが勝ちの恋愛勝負を、頭のいいバカ二人が繰り広げる青春。第一印象は一発ネタっぽいと思ったが、これがうまいことマンネリ化して飽きさせず、面白い。

専門用語などを駆使して雰囲気作りをしていることもあり、やってることはアホなのに、妙に高尚な雰囲気を漂わせることに成功している。それでか、二人の関係はアンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」の「結婚」を想起させた。曰く、結婚とは「二人の主人と二人の奴隷」。まさにそんな二人なのだが、この二人の場合は決して冷笑的にそう言われる関係ではなく、むしろハッピーでニヤニヤできて楽しいのが素敵だ。

以下1巻感想。

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ギャグの領域に達する恋の駆け引き

冒頭に書いたとおり、頭のいいバカ二人が恋愛戦争を繰り広げる青春ラブコメ。会長こと白銀と、副会長・かぐやが、互いに相手に告らせるべく頭脳戦を繰り広げる話。シリアスにアホなことするのはギャグの手法だが、本作もその系統にある。すなわち、ギャグ漫画として普通に面白いのであるが、そのベースに濃いラブコメがあることが特徴的だ。

「こいつ自分のこと好きなんでは…?」くらいの一番恋愛として輝かしいラインで、ラブコメの基本を描いている青春漫画である。本来甘酸っぱい恋の駆け引きを、バカバカしさを振り切って大真面目な頭脳戦として描き切ることで、ラブコメのニヤニヤ分はそのままに、ギャグまで昇華している。なかなか小憎い。

シリアスっぽさの醸成に貢献しているのは、散りばめられているそれらしい専門用語だ。基本心理戦なだけあって、特に心理学ネタが多い。また、「ババ抜き」から「穴埋めクイズ」「20の質問」まで、古今東西のシンプルなゲームで競わせることで、その裏にある恋愛心理戦と絡めて、先を読ませる面白さがある。20の質問の話好きだな。

なんだかんだでお似合いじゃないか

ヤンジャン(元はミラクルジャンプだったみたいだけど)ということもあってか、タイトルに抜擢されているのはかぐやのほうだ(最近の時流にのったこのタイトルのせいで、買ってから長いこと積読状態が続いたのだが…この流行りいい加減にしてほしいなぁ)。かぐやは確かに可愛い。

しかし、個人的には会長・白銀の可愛さが愛おしい。可愛いと言っては失礼かもしれないが。涙ぐましい努力家。冷や飯のうまさを誇らしげに語るところとか素敵過ぎる。庶民の出だからか共感しやすい。偉ぶっていても実際は女慣れしていないピュアボーイなのもいいね。

かぐやも似たようなものではある。富豪の身とはいえ、付き人たちを使った盛大なフラグのお膳立ては金と時間と頭の使い方を大いに間違えている。間違えているが、会長もけっこうそのお膳立てにハマっているので、一定の成果を出しているのが笑える。また人を使うだけではなく、自分の力でも「会長が言いそうなことvol.42 旅行編」などという気持ち悪いハンドブックを作るマメさと、あまつさえその本を元に対策を練る間違えた努力を惜しまない。っつかかぐやの付き人むちゃ楽しいだろうなこれ。

つまり二人とも可愛い。お似合いじゃないかな 笑。

この似たものっぷりは、先にあげたどこか高尚な雰囲気も相まって、読んでいてアンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」の一節を想起させる。

結婚
(一)共同生活体の一つの場合で、一人の主人と一人の主婦と二人の奴隷とから成り、それでいて全部合わせて二人にしかならない状態、もしくは境遇。 (アンブローズ・ビアス著, 西川正身編訳, 新編 悪魔の辞典, 岩波文庫)

要は二人の主人と二人の奴隷ということであるが、まさにそんな感じの二人。この悪魔の辞典は非常に冷笑的な辞典で、この項目も皮肉に満ちている。が、この二人の関係は決してそのように冷笑的に見られるようなものではない。何故かといえば、大仰で救いのない恋愛論という分厚い装甲の先に、ウブな思春期の淡い純情が見え隠れするからだ。そこがいいところなんだ。映画の話とかね、なんだかんだで会長かぐやと映画に行きたいんじゃねーかとか、こういうの、ベタだけど嬉しいわな。

カップリング確定ではないらしい

だが作者曰く、白銀とかぐやがくっついてハッピーエンドとは限らないらしい。正直それ以外のエンドで落とすのは非常に考えづらいのであるが。藤原の紹介でヒロインと書いてあったのは笑ったけど、本当に藤原でオチたら、ラブコメとしてはちょっとした伝説である。そうなったらまさしく本当にギャグ漫画だったのだなぁと思う。

今のところ、メインの人物は白銀、かぐや、それと書記の藤原のみ。こういう漫画はあまり人数を増やさないでほしいし、間違ってもヒロイン乱造とかしないでほしいけれど、どうなるかなぁ。周囲は引っ掻き回す程度にとどめて、白銀とかぐやで貫いてほしいなぁ。

決着をつけるとすれば、すべてを理解したうえで、どちらかがわざと負けるしかないと思うが、その役目は順当に考えれば白銀だろう。そこもひねるんだろうか。うーん、ラブコメとしても綺麗にオチることを期待したいところだ。この勝負、先に負けたほうが勝ちである。

ところで下世話な話だけれど、白銀とかぐやに夜が来るとすれば、それはそれは激しい夜になりそうだ。恥も外聞もなく、アッタマ悪い原始人みたいなまぐわいしそう。してほしい 笑。

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