『ギリギリアウト』6巻(最終巻)感想:尿に煌めくラブコメの光

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作・ソウマトウ。2018年全6巻完結。

この漫画はヒロインが失禁する、というのがウリだと思うのだけれど、今どきの先鋭化したラブコメ界隈では、それ自体は言うほど大したものではないかもしれない、と思う。ただ、この漫画は純粋にラブコメとしてとっても良いものでした。でも、ウリがウリだけに人には勧めづらいな。失禁とラブコメの絡め方が、よかったんだよね。

表紙から期待されるように、幸せハッピーな結末がこの最終巻にはあります。ありがとうございました。黒部さん派はまぁ仕方ないね。以下6巻感想。

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失禁ラブコメは純愛物語

ヒロインが失禁する漫画、というとかなり特殊かもしれないのだが、昨今のラブコメ界隈はとても先鋭化されているので、実はそれほど目新しくもないのかもしれない。まぁさすがに毎回毎回失禁するヒロインはこの宮ヶ瀬花くらいのものだと思うけれど、その「毎回」というのが痛し痒しで、最初はインパクトのあった失禁シーンも、話が進むにつれて読んでいるこちらも慣れてしまい、作者さんも頑張って色々なパターンを考えていたようなのだが、どうしたってマンネリ化は進んでしまう。

それでもこの漫画を面白く読めたのは、ヒロインが失禁するとか関係なく、ラブコメとして純粋に面白かったからだ。失禁はラブコメの舞台を引き立てるための一要素に過ぎない。設定が特殊なラブコメは、しばしばラブコメの本分を忘れてしまいそうになるものだけれど、この漫画は最初から最後まで、徹頭徹尾正しくラブコメだった。いつ読んでもニヤニヤさせてもらったものだ。

だから、もっともっと続いてソラとハナがイチャイチャするのをひたすら見せてくれてもよかったのだけれど、まぁ物語としてはここらへんでクライマックスが良いのかもしれない。黒部との関係も地味に深まってしまっているし、あまり深入りしないうちに決着をつけておいたほうが、後腐れもないし。

サブヒロイン黒部の最後の煌めき

ソラとハナはフィアンセにまでなってしまうくらいだから、その関係はもはや決定的なのだけれど、黒部は黒部でまぁ魅力的なヒロインだったから、恐らく本人にすら自覚しきれていない初恋が、どのような結末を迎えるのか、それは漫画のセオリー的に祝福を約束されたソラ・ハナの関係以上に気になるところかもしれない。

黒部はこれ以上ないくらい、ラブコメにおけるサブヒロインとしての役割を全うした。サブヒロインで賞みたいなのがあるなら受賞させたいくらいだ。

なんとなく自分の恋心めいた何かに気づきつつも、ソラとハナが互いに惹かれているにも関わらず、いやそれ故に離れつつある二人を、励まし背中を後押しする。ソラに対しては、デートの終わりに一度だけ抱きついて、「やっぱりないわね」と嘯くのだが、それが彼女なりのけじめであったことは違いなく、顔で笑って背中で泣く、さながら昭和の漢である。良いラブコメのサブヒロインは皆漢である。

さらにその抱きつきシーンを、ハナが見かけてしまうという逆ご都合主義展開により、黒部最後の嫉妬煽り。サブヒロインの鑑だよ。

ただでさえソラに婚約解消を言い出されて凹んでいる最中であったから、ハナの衝撃たるや凄まじい。虚ろな瞳で佇立したまま小便を垂れ流すハナのシーンは、この漫画でももっとも印象に残るシーンだった。いつものように雨模様に見せかける小憎い演出。ショックを受けながらも、それによって自分の気持ちを強く認識するハナは、とめどなく流れる尿を止めることさえなく、ソラくんを想う。

ソウマトウ, ギリギリアウト, 第6巻

↑雨……でもなく、涙…でもなく、尿。煌めく尿をバックに愛を語る女、宮ヶ瀬花。好きなんだよ…じゃないですよ。最高のシーンだった。

尿に彩られた素敵ラブコメでした

そこから始まるすれ違い・修羅場展開は、この漫画では今までなかったものだけれど、ここまできてバッドエンドになるはずはないわけで、読者としてはここからいかにして二人がその想いを告白することになるのか、期待に胸を膨らませるわけだ。実際、この二人は花火をバックに盛大になされるハナの放尿直後という最低にして最高の形で互いに想いを伝え合う。

そこに至るまで、ソラはハナに呪いをかけたのは自分だ、と思い込んでしまうのだが、それを乗り越えることにまた意味がある。尿がどうとか関係なく、ソラもハナも、互いのことが好きなのだ。

…その気持ちを確かめあった後に、しっかりと、ハナに呪いをかけたのは実は幼き日の雨竜で、ソラはむしろハナに尿を我慢できるおまじないをかけた救世主だったことが明らかになるのだから、完璧である。完璧なラブコメである。ただちょっと汚いだけである。だからこそ、歯の浮くようなセリフもニヤニヤできるのである。

ハナ「漏らしたら着替えればいい でも ソラくんの替えなんてないの」

ソラ「そうか…でもガマンできなくなったらいつでも俺の手を握れよ」

ソウマトウ, ギリギリアウト, 第6巻

これがラブシーンなんだから、最高だ。これが普通のラブコメだったら、「はいはい」って感じになるんだろうけれど、この二人のこのセリフだから最高だ。

そんでもって、しっかりちゃんとキスシーンもある。やっぱりキスくらいはほしいよね。さすがに漏らしながらキスシーンではなかった。よかった。

結局、ハナのおもらし体質はなおらなかったらしいけれど、ソラくんと一緒なら問題ないね。ハナのおもらし体質は、物語の本質ではなかった。本質はソラとハナのラブコメなんやね。ラブコメをちょっと尿で彩っただけ。単にヒロインが失禁する、なんてしょうもない話じゃなく、この物語は尿で彩られた正統派のラブコメだったんやね。二人の未来に乾杯

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