『共学高校のゲンジツ』ラブコメの定石をフラグブレイクして楽しむ

制服相合傘ってそれなんていうファンタジー さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻
制服相合傘ってそれなんていうファンタジー
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻

↑学校帰りに制服の男女が相合傘!?付き合ってもないのに!こんなゲンジツあるか!あってたまるか!

……とご多分に漏れないラブコメファンタジーであり、ゲンジツはゲンジツでも幻実と言うべき。しかしラブコメもラブコメと気づかなければ、幻実も現実に堕ちかねない。一言で言うと、フラグブレイクを楽しむ漫画である。

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基本情報

2016/02/09現在5巻まで。原作さぬいゆうで作画は伊丹澄一。このコンビで制服あばんちゅーるなんていう、これまた素直な学園ラブコメも描いてますな。間の取り方、見開きの使い方が特徴的。え、そこで見開き使うんだ、みたいな感じ。男子高校生の日常を彷彿とさせるタイトルだが、毛色はだいぶ違う。あっちも日常といいながら非日常って感じだったけど。

だいたいこんな感じ

どうもこれはゲンジツには漫画みたいなことなんか起きませんよ、という漫画ではなく、むしろ漫画みたいなことがバリバリ起きてるんだけど、登場人物がそれに対して一切気に留めず、「漫画みたいなこと起きないかなぁ」とボヤく、一発ネタに近い漫画のようだ。ラブコメの常識を知ったうえで、ラブコメ的なフラグブレイクが面白いという、メタ的な楽しみ方がコンセプトっぽい。

ただ、この漫画ほど極端ではなくとも、実は案外身の回りにも漫画みたいな、あるいはそれ以上のことは起きているかもしれない。しかし、俺達はそれに気づけない。現実にはそんなことがあるわけないと思っているから。現実とはそういうものだ、という思い込みこそが、現実を現実たらしめているのかもしれない……という示唆的な内容ってわけでもないと思うんだけど、考えるところはあるかもね。

でもなんだかんだいいつつラブコメなんです。コンセプトはほとんど一発ネタだと思うけど、それでも現時点で既に5巻まで続いているのは、本質がちょっと捻りの入ったラブコメだからだろう。だから安心して読もう。

人物

群像劇チックなところがあるので、特に「こいつが主人公」というわけでもないが、一応メインっぽい連中について触れていく。作者の画力の問題もあるのかもしれないけど、美少女!っていう美少女がおらず、よくみるとちょっと可愛いかも、くらいなのが好感もてる。ただ基本的に女子が男子を追っかける構成なのはちょっと残念。男が追っかけるパターンも欲しい。作者が男の恋を描けないだけだったりして……。

草野と保延・尼妻

最も出番が多い男子が草野。かなり標準的で、正直特徴らしい特徴が見当たらない。ただ女子の座ったベンチにぬくもりを感じたり、なにより冬服ブレザーに夏服シャツをあわせるというぶっ飛んだセンスに小さな変態を感じる。羨ましいことに少なくとも三人の女子から好意をもたれている。なんでこんなモテるんだお前。見た目がけっこういい設定なのかもしれない。

さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻

草野に好意を抱く一人、あざとい担当の保延。草野とは隣の席。ちょっと不思議ちゃん入ってるが計算高さも感じる。意外とけっこう胸がある。スカートの下に完全ジャージ着用の鉄壁ディフェンス。漫画的には残念さの演出なんだろうが、保延のキャラ的に「計算?」とも思ってしまう。どうも、男の前で可愛さを作るタイプのような。グイグイ攻める顔に似合わぬ肉食系。上図のように突然隣に座ったりなんだり記事冒頭図のように相合い傘を狙ってきたり、↓のようにとにかくくっついてきたり。

さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第3巻
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第3巻

また、草野に好意的な女子に対してはガードを発生し草野に変わってフラグをクラッシュする。こんだけあからさまだと、クラスの女子には狙ってるのバレバレやろう。というか同性の友達いるんか?いなさそうなんだけど。そしてどんなにフラグブレイクされてもめげずにフラグをたて続ける。在学中に一本ぐらいフラグ成就して普通に草野と付き合うことになるんじゃないの?と思わせられる。このネバー・ギブアップ精神こそこの漫画の伝えたいことなんじゃないのかと深読みしてしまう。ゲンジツでうまくやりたいなら、保延を見習って何十本でもフラグをたて続けるんだ!ただ、基本的にオフェンス一辺倒なので、たまに草野に誘われると、それには気づかずスルーしてしまうあたりがこの漫画らしさか。

さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻

↑希少な俺っ娘!草野に好意を抱いているもう一人の女子、尼妻。「男だと思ってた」という定番から入るけど多分この漫画で一番可愛い。保延が可愛いところもありながら、かなり面倒臭いところも兼ね備えたいかにも女子という感じである一方、尼妻はただただひたすら可愛い。だが精神年齢が小学生男子並で、また小学生男子並の恋愛スキル故に、正直保延に勝てる未来が見えない。個人的には保延より尼妻のほうが幸せになれるんじゃないかと思うが、今の草野にそれはわかるまいて……。保延には草野に対する好意を見抜かれていて、そのためか保延からの当たりがキツイ。尼妻も保延と草野の関係は気になってはいるようだ。

もう一人、山村という女子がいるが、こちらはほぼモブなので、特には触れないが、この子に対してもしっかり保延ガードが入る。保延さん流石。

内浦と大江戸

さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第2巻
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第2巻

骸骨っぽい顔と〜だべ口調が特徴の男子、内浦と、内浦が好きな女子、大江戸。好きな男子についついお説教しちゃう素直になれない女子↑。でも内浦は顔に似合わずなかなか粋な性格をしているし、基本おおらかなので、いいんじゃないかな。割といいカップルになると思う。この二人の話もそこそこある。

奈良木と新里

お前が一番可愛いんじゃないのかと突っ込みたくなる男子、奈良木と、奈良木が好きな女子、新里。新里はあまり出番がなく、いっぽう奈良木は見開きカラーで全身図を描かれるというヒロイン枠。着々と内浦とフラグをたてつづけており、いったいそこに需要はあるのか、どうなんだと尋ねたくなるというか、実際新里より内浦とのほうが好きな人が多そう。

さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻
さぬいゆう, 伊丹澄一, 共学高校のゲンジツ, 第1巻

↑奈良木と新里の話ってこれくらいしか覚えてない…。恋に夢中で周りが見えなくなるタイプのちょっと残念な子。

総評

案外、人生と漫画の違いは神視点があるかないのかかもしれない……いやそんなことはないですこの漫画みたいなことは起こりませんですファンタジーですはい。

保延か尼妻が気に入ったら、いい感じで読めると思う。実質的にダブルヒロイン。尼妻のほうが可愛いし付き合うなら尼妻だと思うけど、キャラとしては保延が好きだったり。

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