『ダストボックス2.5』1巻感想:声優ものだけどだいたいいつもの高津カリノでした

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作・高津カリノ。

声優業界が舞台であるけれど、別に業界のリアルを描こうというものではなく、いつもの高津カリノということで。というと仮にもお仕事ものでありなのか?という気もするが、漫画の学園ものの多くがリアルの学園とはかけ離れていることはみんな知っている。つまり問題ない。俺が声優興味ないからというのもあるかも。それと、最近は声優ものの漫画けっこうあるから、リアルなのよりデフォルメしたやつが求められている、のかも。

それにしても20代カップルいいよね。以下1巻感想。

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だいたいいつもどおり

高校卒業後、ヒキコモリ化していた主人公が、叔母にいい加減にしろと発破かけられ、就活のポーズだけでもしようと落ちるの前提で声優事務所を受けたら通っちゃった話。そしたらその声優事務所変人だらけかつ浮いた話ばっかだな!という、始まり方はどっかで見たような感じだが、その後の展開はもっとどこかで見たような感じの、つまりいつもの高津カリノの感じだった。このお人は本当にあだち充のごとく安定感があるな。

変な人たちをワゴンに全部突っ込んでまぜこぜさせながら、うまいこと暴発しないように中和するこの感じ。登場人物がいるので、誰と誰がセットなのか?と多少悩ましいが、1巻読み終わる頃には人間関係もよくわかる。

ちょっと珍しい感じがするのは、どちらかというと男性優位な組み合わせが多めなところだろうか。他作を見ると、少なくとも表面的には女性優位なパターンが多い気がするので。ただこの人のカップルは、よくよく見ると優位なほうが実は振り回されているというパターンでもあるので、結果的には男性陣が振り回されまくっているな。

現場の描写は少ないし(というか描けない?)、お仕事ものとしては外せない仕事上の葛藤も、その大半が人間関係に起因するものなので、本作を読んでも声優のことはあまりわからない。しかしリアルを求めてこの漫画を読む人はいないだろうし、問題ない。多分。

声フェチと声興味ない人

ただやはり声のお仕事ということで、声に関する話題は尽きない。特に(恐らく)看板カップル片割れの日歌里は声フェチで、高校時代から神の声をおっかけていた。その様子は現在進行系で早乙女のストーキングに励んでいる、勇羽にドン引きされるほどなので、いったい当時他クラスメートからはどのような扱いを受けていたのだろうかと思う。

一方で、早乙女のおっかけが高じて、ついに同じ事務所の声優にまでなってしまった勇羽は、早乙女といるときは興奮し過ぎるため、もうあまり声も覚えておらず「声とか全然覚えてないわ」という元(?)ファンにあるまじき発言。声優のおっかけからの恋愛劇だというのに、この本末転倒ぶりにはスルースキルマの早乙女も思わずツッコミを入れる。

しかし、そういう経歴を持つ勇羽をして、日歌里は自分に似ているところがあると思う、というのは暗示的かもしれない。だいたいきっかけなんて思い返せば些細なことであるし。

ただ日歌里の場合は、声フェチが重度であるようなので、勇羽のように我を忘れてついでに好きな人の声まで忘れるようなタイプではなかろう。声フェチっぷりがナチュラルに変態ぽくて、そういえばこういう変態っぽい性癖を直球で出してくるキャラって高津カリノ作品だとあまり見たことがないから(WORKING!!のロリコンは豪速だけど変化球)、ちょっと新鮮。

ファンに恋を応援される声優っているんだろうか

ところでこの作品で一番印象に残っているのは、ファン公認で恋愛を応援されている勇羽であった。声優ファンは同じオタクでもまったくジャンルの違う人たちなので、どういう人種が多いのか、実際のところよく知らない。ただ、漫画で言えばどちらかというと、きららとかそっちのほうが好きそうな人たちという印象なのだけれど、それは単にそういう層がネットで目立つからというだけか。実際のファンはどんな感じなのだろう。

本作で一番少なかったのはいわゆる声優ファンの描写かもしれない。勇羽のファン層が神様であることが示されたのみだ。熱狂的な、それこそクリスマスにブログ監視したり数々の名言コピペを生み出したりしたような声優ファンは、ここには描写されていない。というか正直そんなん出されても困るが。適当にネットを回っているだけでは、そういうテンプレのイメージがついちゃっているけれど、これは声優ファンにとっても心外なことなんだろうなきっと。

ファンに恋路を応援される声優ってのは中々面白いな。リアルではちょっと嫌だけど。だって二次のラブコメは癒やしだけれど、三次のそれはゴシップだもの……。

総評

全体的には、20代カップルをゆるゆるニヤニヤ楽しめるお仕事もので、だいたいいつもどおりですの一言である。

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