『死神坊ちゃんと黒メイド』1巻感想:寸止めエロティシズムとウブいやりとりの落差に悶える

井上小春, 死神坊ちゃんと黒メイド 1, 2018

なにこれ素敵。

何がいいって、触ると死ぬ、という寸止め前提のプラトニック設定にも関わらず醸し出されるエロースと、それでいながら好意を隠さない二人のうぶうぶっぽいやりとりの落差である。

そして、坊ちゃんが紳士。ラブコメでメイドもの自体はさして珍しくないかもしれないが、仕えるのがガチのお坊ちゃん、ってのは案外珍しい気がするね。ヒロインのアリスはクールだけれど、坊ちゃんがそれ以上にロマンの剛速球投手っていう。

一見するとからかい上手のアリスさんかもしれないんだが、それ以上のものだと思っている。以下1巻感想。

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見事なエロティシズム

主人公の坊ちゃんは魔女の呪いで死神の力があり、触るもの皆傷つける……どころか命を奪ってしまう……という基本設定だが、これはつまりラブコメ的には大好きなあの娘に触れられないという最悪の呪いなわけだが、それが故にギリギリの見せつけプレイという方向に進化している。黒メイド(作者さんの趣味全開?)のアリスはスカートたくし上げたりクッキー口にくわえたまま食べさせたりと、まぁ色々と最高である。

ラブコメ的に不利としか思えないデスハンド設定が、見事にエロティシズムに昇華されており、見事というほかない

しかしプラトニック

寸止めを逆にエロティックに表現しているというだけではなく、そのプラトニックさも存分に活かされている。特に坊ちゃんがなにかとキザに格好つけてアリスに想いを伝えようとして、それを受け止めたアリスがなんだかんだと照れてしまうのは、普段の逆セクハラ描写がエロースなだけに、アリスのみならず読者の俺も照れてしまう

黒メイド・アリスは妖しい艶めかしく美しいクールな女性なのだが、このアリスを可愛いと思わせる、坊ちゃんの決まらないキメは相当のものである。とにかくキマらないのだけれど、想いだけは恥ずかしいほど伝わってしまうやつで、いやむしろキマっていないからこそより生々しく伝わってしまっているのだろう。

まぁなにしろ、「君へのバラードのつもりで作った」と自作のピアノ曲を一番に聞かせたり、夜の池にボードで漕ぎいでて、流星群を見ながら想いを伝えようしたり、道に迷ったら自分が死ぬのは怖くないが君にあえなくなるのがつらいとさらっと言ってのけたりなど、ロマンのストレートを剛速球でぶん投げてくるのだから、いかにクールなアリスでもすべてを受け流せないわけだ。

普段は坊ちゃんがアリスから完全に逆セクハラでいいようにやられているだけに、ちょいちょいと主客転倒する瞬間が実に良い。それはとてもプラトニックな瞬間でもある。この二人の関係の絶妙さが、本作をからかい上手のアリスさん以上のものにしていると思う。

重さも感じる

そんな愉快な素敵ラブコメではあるものの、根底にある暗さを感じないわけにはいかない。なにしろ最初の話がしんどい話である。久しぶりに出会ったかつての友人・フィリップと、また親睦を深められないかと坊ちゃんは期待していたが、フィリップはただ頼まれたから来ただけで、アリスを屋敷の外に出ないかと誘った挙げ句、坊ちゃんを化け物呼ばわりするという、まぁ理解できなくもないんだが最低に過ぎる対応は、見ていてつらいものであった。

これが初っ端の話だったから、果たしてこれはどんな物語なんだろうか、とやや不安に思ったものの、次からは坊ちゃんとアリスの愉快なラブコメが始まるので、まぁ楽しくはあったのだが、最初にあんな話をもってきた以上、なにかしら暗い展開になったりするんだろうか、という心配はないでもない

ハッピーエンドで終わってほしいものだけれど。どうかな。どうなるのかな。坊ちゃんの名前が出ないのにも理由があったりするのかな。とりあえず続きポチろうか。

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