『チアチア』感想:フェチ道を歩む主人公に乾杯。もっと続いてもよかった

Amazon

光永康則といえばやはり怪物王女だけど、途中でどこまで読んだか忘れてしまって読むのを中断していた。最終巻も出て久しく、例によって積読状態であったので、一から読み直すかなーと読んでいたのだけれど、気が付くと何故か本作を再読していた。レジにもっていけない系の表紙。作者の趣味性が溢れ出ている。

一般のラブコメで、主人公の男がここまでいやらしい方面でガチ変態なのは、案外珍しいのではなかろうか。エロいとかスケベとかという次元じゃなくて、本当にただの変態。にも関わらず案外ちゃんとラブコメしている。

以下感想。

主人公が変態。スケベとかじゃなくて変態

まるでアダルト漫画のような表紙でかつ、主人公・鴎二はチアコスフェチの変態、女子校の学園長の一人息子で、女子校に通う唯一の男子生徒という、どう見ても成年漫画です本当にありがとうございましたな構成なのだが、その内容はあくまで一般紙の範囲内。しかし溢れ出るフェティッシュ。素晴らしい。

絵柄が垢抜けないのがむしろいい感じだ。怪物王女と同じ絵柄というポイントを差っ引いても、このちょっと野暮ったい感じが、ある種のアマチュアリズムというか、作者の好きなものを好きなように描いているんだ感があってよい。あまり露骨にエロくならないしね。小さく吹き出しで女子キャラの胸のところに「ぷる〜ん」と書いてあったりするのを見ると、ほんまに好きやねんなぁとほっこりする。

一応ラブコメなのに、主人公がこれだけ救いようのない変態というのも珍しいな。エロい主人公は多いけれど、ガチでトイレにカメラしかけて盗撮する犯罪性のある変態ぶりを発揮する主人公は多くないはず。教室の隅で盗撮画像を眺めながら、「イェ〜〜ッヒッヒッ!」と気持ちの悪い笑いを発し、教室の女子たちはウンザリした表情で聞き流している。ついたアダ名が変態鴎二ならぬ変態王子。これが第一話。すげぇな。

だが、なにげにイケメンメガネ男子でもある。普通にしてたら普通にモテたんじゃないのか…と思わせるがそういうの全部ぶち壊せて変態行為に励んでいるあたりがますます紳士的である。

また、ただの変態ではない。この変態紳士は、チアリーディング部を作るという特命を受けて、学園内でやりたい放題するわけだが、理想の尻を見つけるや否や、顔もわからないのになりふり構わずその尻の持ち主を探し求め、「たとえどんなに顔がブサイクでもかまうもんか」と啖呵を切る、変態道を歩む孤高の紳士である↓。

光永康則, チアチア
光永康則, チアチア

この信念、感動すら覚えるよ。

なぜか幼馴染もの要素も

こんな本作であるが、メイン?ヒロイン・いつきは幼馴染の生徒会長。盗撮魔の主人公をなんだかんだいって憎からず思っているチョロイン。お目付け役っぽく振る舞いながらも、鴎二のことはかなり幼馴染フィルターをかけて通常よりも良い解釈をしている。たとえば↓。

光永康則, チアチア
光永康則, チアチア

あいつはどうしようもない変態男だけど
私たちには指一本も触れていない……!

そこは感慨深くなるところではない。

盗撮魔やしなぁ。ただ、たしかにポリシーをもった変態野郎であることは間違いない。その点は確かに評価できる…評価できるけど女子として評価してええのん?w

とはいえ、本作の本筋はラブコメよりも、主人公・鴎二が語り紡ぎだすフェティシズムである。1巻読み切りという短さもあり、二人の関係が掘り下げられることはない。が、上記のようにやけに鴎二に好意的であったりと、ちょくちょくとラブコメっぽさも感じさせる。

最後鴎二が退学になった時などは、チア部の面々が鴎二を女装させて世間の目を誤魔化そう!と提案し、実際やらせてみたらそれなりに似合って、以外なことにクラスメートの理解さえあったにも関わらず、いつきは真面目に「容認できません」と言って立ち去る。

これはもちろん、そんなことでどうにかなる話じゃない、という冷静な考えがまず第一義ではあろうけれど、冗談でも鴎二を女子としては見たくない、というのもあったろう。こういうちょっとした描写がラブコメ的には嬉しい。

長編にしてもいいんじゃないかとさえ

1巻読み切りで、ただひたすら鴎二を通して作者のフェチぶりをいかんなく発揮する漫画であった。1巻で終わらせたのはちょっと惜しいなぁ。変態王子こと鴎二は非常にいいキャラしているし、サブキャラたちも皆個性的だった。残念ながら、尺の都合上鴎二の変態ぶりを際立たせることで手一杯だったけれど、もっと掘り下げることもできたろう。今からでも続いたりしないかしら?

そしていまさらながら、カラー版が出ていた衝撃。この漫画、カラーで見たいか?笑
でもちょっと欲しい。けど1,000円か……。ぐぬぬ……。