『それでも歩は寄せてくる』1巻感想:ストレートという名のラブコメ変化球

山本崇一朗, それでも歩は寄せてくる 1, 2019

男のラブコメ好きで今や知らない人はいないと思われる、からかい上手の高木さんの作者さんによる将棋漫画……という体の安心のいちゃラブ漫画。今回は男が攻め役です。一歩、一歩と寄せてきます。そう、今回は男の名前のほうがタイトルなんよね。ヒロインのうるしは受け側です。

やーこのお方、求められているものを完全に理解していらっしゃる(きっと作者さん自身が求めているものでもあるのだろう……)。この調子で、いちゃラブのシチュエーションを制覇するつもりなのか。高津カリノばりの安定感と面白さ。

ありがちなシチュエーションにも関わらず、真似できない雰囲気がある。なんかの野球漫画で見た「ストレートって変化球なんだよ」というセリフを思い出した。剛速球だよ。バッターアウト。将棋だけど。

ほんと、絶妙なバランスだよなぁ。以下1巻感想。

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幸福感しか感じない

絶妙なバランス。男女がイチャイチャするだけのラブコメは、大昔からやられているジャンルだ。つまり、様々なシチュエーションがやられているわけで、実際この漫画を読み出した時に色々と既視感があったのは事実。将棋部という舞台自体は珍しくても、男女二人の空間で繰り広げられるラブコメなんてのは、そりゃまぁたくさんあるわけで。このサイトに来る人なら、きっと思い浮かべた漫画いっぱいあるんじゃなかろーか。

にも関わらず、この漫画を読んで感じる新鮮味はなんなのか。決して奇をてらっているわけじゃない……いやむしろ想像したとおりのものと言っても過言ではないくらいなのに、ニヤついてニヤついて仕方がない。ページをめくるのが楽しすぎる。

内容は、男女二人が将棋を指すだけ。それだけなんだけれど。もちろん、将棋を指しながら交わされる会話、駆け引きにもなっていない駆け引きが良いのだけれど。たとえば第一話における会話だ。

うるし「……お前 私のこと好きだよな」
歩「何を言っているんですか」
うるし「だって私しかいない将棋部入ってるし!!」
歩「将棋したかったんで」
うるし「将棋何も知らなかったし!!」
歩「でもしたかったんですよ」
うるし「私のことかわいいっていうし!!」
歩「かわいいんで」
うるし「んあっ!?」

山本崇一朗, それでも歩は寄せてくる 1, 2019

なんか文字見ているだけで幸せになってきた。いや、ずるいよな。しかもこの後のやりとりがさらにね……。

これ、ギリギリなんだよなぁ。これを超えると、あざとさで鼻白んでしまうと思う(「チューも…してやっても…いいぞ…?」はもうほんと限界ギリギリかと…)。実際、1巻では1話が一番あざとくて、これ以上にはならない。わかってるんだなぁ、やっぱり。鼻白む寸前で引き返すというか、あざとさのチキンレースというか。このバランス感覚、抑制のきかせ方が匠の技っすわ。「ストレートって変化球なんだよ」というなんかの野球漫画で見たセリフを思い出した(おお振りかな?まぁ少なくとも巨人の星ではない)。

こんなノリで1巻丸々続くわけだけれど、まったく飽きさせない。すごい。天才。もう読んでいると多幸感でヤバいからね。永遠に読みたいわこんな話。こんなん読ませてもらえると、ラブコメの無限の可能性を感じざるを得ない。ありがたやー。

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2 thoughts on “『それでも歩は寄せてくる』1巻感想:ストレートという名のラブコメ変化球

  1. 山口

    この作品、山本さんがまだキャラクター名や作品の題名等もはっきり決めていない頃にTwitterで発表し始めた初期からかなり好きでしたね^ ^
    高木さん、で山本さん、これぞ自分の得意とする作風だというところをきっちり把握されて見事に化けて人気作品に成長したんでしょうし、週刊連載を講談社という小学館のライバル出版社で描き始めても作風等、全くブレていないんでしょうね。
    当分はこのお若いお二人の付かず離れずの関係がイチャイチャ?と続くんでしょうが、いったいどんな最終着地点が待っているのか、本当に興味津々ですね。
    作者氏は複数の連載を抱えて大変そうですが、無理せずに頑張って欲しいですね。

    返信
    1. 管理人

      へー!作者さんTwitterでされていたんですねー。やはり今どきはTwitterで情報集めたほうが色々知られて楽しそうですね。
      着地点がどうなるのか、気になりますよね。どこまで作中でどこまで関係を進めるのかとか、今後の作品にも影響を与える一つのモデルになりそうです。
      実際界隈への影響力大きそうですし。でも、作者さんにはあまり気負わずにやっていってほしいですね。

      返信

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