『超可動ガール1/6』1巻感想:美少女フィギュアとイチャイチャイチャイチャ

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作・ÖYSTER。2013年1巻。『ど先端ナース』が面白かったので購入。

オタクが好きなアニメのヒロインのフィギュアを購入したら、それが動くフィギュアで即結婚してドリーム。ただし結婚後はあたしんちのオカンのごとく所帯染みるうえに三次はおろか二次の浮気も許さないという厳しさにオタクも狼狽。だがいい夫婦(?)っぷりでニヤニヤする。

フィギュアとのラブコメではあるが、ピグマリオン・コンプレックス的なフェチ性はあまり感じさせない。また、この手のものとして「何故フィギュアが動くのか」という世界観の追求があるのが珍しい。以下1巻感想。

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動くチョロインフィギュアと同棲生活

主人公・春人が好きなアニメ「少女→惑星探査」のヒロイン・ノーナのフィギュアを購入すると、なんとそれは自分の意志を持つ動くフィギュアだったとさ。即結婚。

このノーナがいかにも美少女アニメのヒロインで、可愛い顔と良いスタイル、きわどい衣装、愛らしい性格を兼ね備えた美少女。しかも結婚したいくらい好きだということがわかると、それだけで嬉しくなっちゃってOKするチョロインぶり。オタクの夢やね。

ただし、ノーナは速攻で現代社会に馴染んでしまい、昼間から寝っ転がって菓子をくいくいテレビ見るという、"きらら"とかついていないまんがタイムの主婦キャラみたいになってしまう。しかもオタクにとってつらいのが、浮気を絶対に許さないこと↓。

ÖYSTER, 超可動ガール1/6, 第1巻

実在の女性はもちろん、元がアニメのヒロインなだけに、浮気の対象がアニメヒロインまで拡大。しかも女の子が出ているものはアニメもゲームも全部禁止という、超束縛系彼女

ただでさえ口にお菓子のカスをつけたあたしんち状態のヒロインにちょっと幻滅を感じているところへ、さらなるおいうち。趣味の否定であり、オタクにとって死ねと言っているのに等しく、いかに嫁キャラといえど、これを許容できるオタクはいないだろう。というかこれを許容できるようなやつは、アニメヒロインと結婚したいと本気で考えるようなオタクにならないしなれない。

もちろん生粋のオタクたる春人にとっても、この要求は承服できるものでもない。が、嫁の言うことなので渋々ながら受け入れる。そしてフラストレーションがたまり、ノーナに対してつらくあたったりもするようになる。

……と、オタクの夢を描きながら、妙に現実的な嫌さを描いているのがポイントだ。しかしそういう諍いが、二人の夫婦っぽさを増していてニヤニヤする。なんだかんだいいながら、春人はノーナを大事に思っているし、またアニメヒロインのフィギュアであるノーナにとって、自分の存在を認める春人はやはり大切な存在なのである。超束縛系なのは、ノーナにとって春人に愛されることがアイデンティティになっていることもあるだろう。最初はゲーム禁止とか言っていたノーナも、春人と一緒にゲームをすると思いの外楽しく、制限はゆるくなるようだ。イチャイチャしやがって…。

こういう結びつきをベースにした諍いは、犬も食わない類のやつなので、ニヤニヤできるんだ。

カプ厨が楽しむ俺嫁厨のラブコメ

つまり、いわゆる「付き合った後」を描いたラブコメに入るが、皮肉なことにこのジャンルは恐らく春人の好きなタイプのものではないと思われる。というのも、春人はジャンルとしては俺嫁厨の類に入るだろうから。結婚後や付き合い後のラブコメを喜んで見るのは、どちらかというと俺嫁厨とは逆のカプ厨の類である。つまり俺みたいなやつ。

俺は主人公の夢自体にはあまり共感できない。カプ厨の本質は徹底的な第三者視点にある。物語のいいところは自分がいないところだと思っている。カプ厨ってのはそういう人種なので、ヒロインとの結婚なんて夢は絶対に見ない。俺の嫁なんて夢にも思わないし、口が裂けても言わないのがカプ厨である。

俺嫁厨とカプ厨は当然のことながら相容れないが、現実には同じ作品を楽しんでいることも多い。俺嫁厨でも、主人公のように自分を物語の世界に登場させる妄想をする人は少ないだろう、多分。自分の分身のオリキャラを仕立てて無双させるのはメアリー・スーと呼ばれ、二次創作ではメチャクチャ嫌われる。たいていは、強烈な自己移入はすれど、主人公のこともそれなりに尊重するので(せいぜい薄い本で主人公の目を隠すくらいだ!)、結果として、俺嫁厨とカプ厨が表面的には話が合うこともある。そして、同じ作品をそれぞれの見方で楽しんでいることも珍しいことではないというわけだ。

しかし、やはり三人称視点のカプ厨と一人称視点の俺嫁厨は相容れないものである。そして、そんな俺嫁厨が主人公の話を、カプ厨の俺が楽しんでいる。一人称視点の俺嫁厨だからこそこの物語の主人公足りえるし、そのラブコメを楽しめるのは三人称視点のカプ厨だ。これは面白い逆転だと思う。

単なるオタクドリームではなさそうだ

ヒロインが1/6フィギュアということで、ピグマリオン・コンプレックス的な見方もできようが、あまりそういう感じはしない。そこそこサービスシーンはあるものの、ヒロインはあくまで「一人の女の子」として描かれており、「フィギュアであること」が強調されていないからだ。フィギュアであることが重要なのではなく、アニメのヒロインが実体化したことが重要なのだ。たまたま、肉体がフィギュアだったに過ぎない。

性的な要素も薄い。春人の可愛い妹に結婚状態にあることが即バレするのであるが(この時のノーナの嫁アピールが非常に可愛い)、この妹は中々ませた妹で、ノーナに対して「夜の生活はどうしているのか」を聞き、ノーナのお供の触手キャラ、オズマを呆れさせるシーンがある。が、ノーナは妹が何を言っているのかわからない感じだ。これについて、オズマは妹にこう解説する。

「少女→惑星探査」には「恋愛」や「性」の描写が無かったろ?
多分アニメの世界で表現されていない事は
登場人物であるワシやノーナには「認識」できんのじゃ

その割にお前さん色々なことよく知ってるじゃないのとか思いつつ、性的知識は少年誌レベルだという。最近の少年誌だったらもう全部知っていそうな気もする。

が、とにかくノーナは性的なことはよくわからないらしい。少なくとも現時点では。それどころか、恋愛感情もよく理解していない……ということらしい。これは、物語のポイントっぽい。

「なぜフィギュアが動くのか」という世界観の追求があるのもポイントだろう。この手の漫画で起きる超常現象は、そういうものとして受け入れられることが多い。考え出すとキリないしね。そこをあえて触れている以上、話の根幹に関わる設定があるはず。

どうも、単なるオタクドリームなラブコメで終わらせるつもりはないらしい。春人のノーナのやりとりにニヤニヤしつつ、先を読ませる楽しいラブコメだった。次巻読もう。

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